――<前編>のさわりを聞いただけでも背筋がゾクゾクして来ましたが、続いて宮古島へ乗り込んだ<後編>の見どころをお願いします。

本邦初公開となる『幽霊の棲むキャバクラ女子寮』は、Gメンの後藤(剛)社長が太客だった都内某所にあるキャバクラの店長から「自分が出張している宮古島店の女子寮にお札があちこちに貼られた部屋がある」という、聞き捨てならない情報を聞いて向かいました。その部屋で僕は書籍版「新耳袋殴り込み」の原稿を書かされたんですが、書こうとすると壁がコンコンと鳴るんですよ。東京に帰って続きを書こうとしてもまったく筆が進みませんでした。もはや一種のPTSD(心的外傷後ストレス障害)ですね。

――そして『喫茶店I廃虚』ではギンティさんのとんでもない姿が見られますね。

あの時はもう僕に限らず、みんなおかしくなってましたから。あそこは今回取材した地元の人が全員「危険すぎるから行くな!」と言った場所なんですよ。そこで監督の力夫が「全員に単独潜入してもらう!」なんて言い出しまして。そしたら一人目のメンバーが潜入した瞬間、そいつしかいない室内から「ドン! ドン!」って床を踏み鳴らすような音が鳴り出して…。そんな廃虚の中に、僕はブリーフ1枚で潜入させられましたからね! どんだけ怖かったか!

――率直な感想ですが、そもそもなぜこんなことをするのですか?

なんでだろう…僕らもなんで続けているのか、すでに訳が分からなくなってます(笑)。最近ふと「止めるって選択肢もあるんだ」と気づきましたね。ただ、本も出させてもらっていますし、こうして映画にもなっていたりしますと、前回を上回ることをやらないといけない、という気持ちになってしまうんですよ。打ち合わせの時は少しでも作品をよくしたいから、あんなことやろう、こんなことやろうと大きなことを言うのですが、現場に着くと「俺、なんであんなこと言ったんだろう…」と。いつもその繰り返しです。

――でも、Gメンのみなさんには恐怖を無理やりにでもエンターテイメントに変えようとする強い意志と前向きなパワーのようなものを感じました。

そう言ってもらえると光栄ですけど…なんか常に追い詰められてるんですよね。やるからには「たいしたことない」「つまらない」って思われたくないし。ちょっとかっこ良く言えば、むちゃをしながらも僕らが見たい"理想"に近づきたいだけなんです。ただ全員、その役は自分じゃないことを願っている(笑)。仲が良いというより、お互いに「こいつが打ちのめされるところを見てみたい」という、謎のバランスで成立しています(笑)。

――では、殴り込みGメンとして今後の抱負をお聞かせください。

これはメンバー全員が思っていることですが、一番の夢は「一日も早い解散」ですね! この夢はシリーズを重ねるごとに力強いものになっています!

――でも、まだまだ"殴り込み!"シリーズは続いていきそうですが…?

いや! できれば、今年で最後にしたいですね! これ以上続けたら、待っているのは死ですから! ただ、どんな形になるかわかりませんが、心霊スポット取材は続けないといといけないだな…って気がするんですよ。それが続くうちはまだ生かされているのかなと(笑)。でも、心霊系の仕事をやめて、欲をかいて日の当たるような仕事をやり始めた途端、人生うまく行かなくなるような気がするんですよね。僕の場合、心霊スポットに行って原因不明の高熱にうなされたり、下痢に苦しんだりするくらいがちょうどいい人生なんです。それに、心霊スポットに興味があっても、なかなか行きたくない人も多いと思うんですよ。ですから、こんな僕らでもみなさんのお役に少しでも立てるのなら本望です。僕らの怖がる様を、ぜひ上から目線で楽しみながら見てください。

――最後に、ギンティさんが一番怖いものは何ですか?

この仕事をするようになって、男として大事なものをいろいろ無くしたと思います(笑)。後ろからふいに呼ばれたり、原稿を書いている時に肩をたたかれたりしただけで異様に驚くようになりましたから、確実にハートはもろくなってますね。でも、本が出るまで僕のミッションは終わらないので、一番怖いのは"締め切り"です(笑)。

(C)2013怪談新耳袋殴り込み製作委員会 BS-TBS/キングレコード