田口清隆
1980年(昭和55年)生まれ。北海道室蘭市出身。代表作は『長髪大怪獣ゲハラ』(2009年作)『MM9(#05、09)』(2010年)、『ウルトラゾーン』(2011年)など

――お二人を含めた四人の監督がそれぞれ三本ずつお撮りになっていますが、担当するエピソードはどのようにして決まりましたか?

田口監督:一枚にプロット1話にプロットがわーっと書いてあって、「撮りたいものをまずプロットで選べ」と。

中井監督:そこで残ったものが、さらに内容の濃いあらすじになっていって。

田口監督:中井さん、どの段階で見たんですか?

中井監督:プロデューサーの関さんとも知り合いだったから、結構早い段階で見ていたけど、全体を見た時に「よし、どれでもイケるぞ」ってね(笑)。そういう考えもあったんですよ。

田口監督:(笑)

中井監督:先輩監督もいるし若手監督もいる。「若手監督だったら、こういうのでガガッと撮った方がいいだろうな」とか、「特撮ものだったら、田口監督が得意だろうな」とかそういうことを考えながら待っていた。そうすると「これは、やっぱり中井だろうな」っていうのが残っていくんですよ。

田口監督:僕は、最初に「これやりたい!」って言った三本が、そのまま……。

中井監督:うん。結構、みんなそうだよね。

田口監督:被って取り合いになったってことは、たぶんないはず……ですよね? 僕は最初、順番かと思ったんですよ。石井さんが選んで、次に入江さんが選んで。

中井監督:実は僕、石井さんとちょっと被ったんですよ。

田口監督:えっ!? どれがですか?

中井監督:ニルワニエの第1話 とマーラーの話(第4話)かな(笑)。でも、石井さんは20年くらい前から知っている方なんで「石井さんが撮るんならどうぞ」と譲りましたね(笑)

――怪獣にも、元祖『ウルトラQ』に負けず劣らずのユニークなデザインが揃っていますね。

田口監督:ブレザレン(第2話)は子どもとはしゃぐ設定だったので、一緒にいて絵になる怪獣にしたいと思っていました。結果的に『ピグモン』みたいなデザインになりましたが、それが正解だった。元になる着ぐるみがこういう顔してたのでね(笑)『ウルトラマン』というのは、着ぐるみの改造が昔から……。

――伝統芸の世界ですよね(笑)

田口監督:それで僕も抵抗なく(笑)

中井監督:ファルマガン(第10話)の核は、実体のないものにしたかった。でも、地球上にいる時は姿を形成しなきゃいけない。とても愛情深いけど、不恰好な紳士を創りたかったんですよ。怪獣らしさというよりは、ファルマガンという存在自体を人間に寄せていきたかった。でもそれが不恰好になるなら、周りにあるものの集積でできたような、地球上の存在じゃないものとエレファントマンを重ねて哀愁あるものを目指しました。

田口監督:僕のセーデガン(第6話)は、無人島の怪獣といえばレッドキングだろうと(笑)。だらしない体のおじさんなんだけど、怪獣のヒレが付いている。顔は手塚治虫さんの描いた鼻みたいにしてくれとか、叩き潰されたかわいそうなおじさんの顔みたいにしてくださいとオーダーしました。

中井監督:ソーマ(第12話)は太古の昔から存在したものなので、アンモナイトだったり、ああいうものに寄生していたら一番気持ち悪いなと思ったんですね(笑)。寄生されて違和感があるものです。後は、地球が誕生してからずっといるであろうということで、昆虫的なものに仕上げました。

田口監督:あとプラーナ(第9話)は……まぁバルンガとかブルトンとかが大好きなので(笑) それが煙突にくっついて呼吸してたらどうなるかなと。怪獣らしく気持ち悪すぎず、怖すぎもせず、みたいな感じでしょうか。……続きを読む