――では、お互いの監督作品をどうご覧になられましたか?

中井監督:僕はセーデガンがすごい好きで、造形のアトリエで見たときから哀愁を感じていました。その記憶は鮮明に残っています。スタッフはブレザレンが可愛いと言ってましたが、僕はもうセーデガンから目が離せなくなっていた(同席したスタッフ爆笑)。放送を観てもそれは変わりませんでしたね。

古典的な技術でやっていることにも感動したし、物語に一番入り込めました。僕の娘もセーデガンのファンで、僕の作品よりも「『臭い島』観たい、『臭い島』観たい」って言うんです(笑)。これ、ラブストーリーじゃないですか。実は僕、最初にこれを撮ってみたいと思っていたんです。ただ僕は特撮専門じゃないから「これは結構大変なことになるぞ」と感じていて……そうしたら、田口監督があのように撮ってくれました。あの戦車は、CG?

田口監督:CG戦車をいつもお願いしてる専門家と一緒に、色々工夫してがんばりました。

中井監督:観て感動しましたよ(笑)

――『言葉のない街』ではオープニングのタイトル曲をバックに、森の中にスーッと入ってゆくところとか、ファルマガンの話では、人気のなくなった黄昏時の静かな校庭の絵が入ってたりとか……。

中井監督:実景のああいう心象風景は絶対入れる方なんですよ。

――田口監督は、森の中にスフラン入れてみたりとか……(笑)

田口監督:戦車走らせとけみたいな……(笑)。落ち着いた絵をやろうとすると、落ち着かなくなっちゃう(笑)

中井監督:40になると、落ち着くから(笑)

――『ウルトラQ』の制作、実際の撮影とどのような構想があったのでしょうか?

田口監督:単純に心がけたのは、『ウルトラQ』の一部になるということです。こういう話が『ウルトラQ』にあったっていい、という作品になればいいなと。当時の『ウルトラQ』にしても、エピソードごとにバリエーションがあったはずです。その中になんとなくこれを白黒にしてスッと入れたら、みんな気にせずに――そういうものが(もともと)あったぐらいという感じ。僕はそういうものを目指しましたね。

中井監督:『ウルトラQ』に対しては、皆それぞれの記憶があると思います。そこに自分の童心をどう探っていくのか、ということだと思うんですよ。自分が子どもの頃の記憶を呼び戻したもの……それを具現化すれば、それが『ネオ』になるんじゃないかと。自分たちの子どもの頃に立ち返るしかない。そこで何が観たかったのか、自分だったらこういう恐怖感を感じた……とか。

――それでは最後に、これからBlu-rayやDVDで『ネオ・ウルトラQ』をご覧になる方々へのメッセージをお願いします。

中井監督:部屋を真っ暗にして、一人で観ていただけるといいかもしれません。あまりペチャクチャしゃべってると、いろんなことを見落とすんじゃないかなと思います。家で、自分だけの映画館で観るように集中する。そして、あまり過去にとらわれず、寛大な気持ちで(笑)。絶対何か感じるものがあると思います。

田口監督:中井さんの回は暗くして観る方がいいかもしれませんが、僕の回は友だち誘って(一同爆笑)、コーラかビール片手にあーでもないこーでもないとツッコミ入れて、悪口でも何でも好きなこと言って観てもらったら、逆に発見があるかもしれない(笑)

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