元宝塚歌劇団・宙組のトップスターで、昨年7月に退団した大空祐飛が9日、都内にて行われた蜷川幸雄演出舞台『盲導犬 -澁澤龍彦「犬狼都市」より-』『唐版 滝の白糸』の合同製作発表会に出席した。
『唐版 滝の白糸』は作・唐十郎、演出・蜷川幸雄による作品で、13年ぶり4度目の上演となる。1975年に初めて上演され、実現不可能と言われていた大掛かりかつ緻密な舞台装置は、映画撮影所を劇場とすることで可能となり話題になった。退団後初の舞台に挑む大空は、心中の生き残りで、その生命力を燃やす水芸人・お甲を演じる。妖艶でありながら、性悪さと優しさを併せ持つ複雑な女性を男役トップスターを務めていた大空がどのように表現するのか、注目が集まる。大空は「このような大きな挑戦を与えてくださって感謝しています」と今回の縁を喜び、「初めてというのは1回しかありません。この機会にその初めての興奮や緊張がいい意味で舞台に出るように全力で臨みたいと思います」と意気込みを語った。
大空が舞台出演を望んでいたことを知った蜷川は、彼女の出演DVDを見た後にオファーを決断。蜷川は「宝塚もいい宝塚と悪い宝塚がいて、性格の悪い変なのもいっぱいいるんですが(笑)」とブラックジョークを飛ばしながら、「でも、お会いしたらいい女優さんでしたので、喜んでお願いしようと思いました」と初対面の印象を振り返った。その言葉を受け、大空は「私がいい宝塚か悪い宝塚か分からないのですが(笑)」と再び会場の笑いを誘うと、「蜷川さんの舞台にかけていらっしゃる情熱というものについていきながら、体当たりで演じたいと思います」と気合をみなぎらせていた。
この日の発表会には、『盲導犬 -澁澤龍彦「犬狼都市」より-』(東京公演:7月6日~28日 大阪公演:8月3日~11日)から宮沢りえ、古田新太、小出恵介、『唐版 滝の白糸』(東京公演:10月8日~29日 大阪公演:11月)からは大空のほか、窪田正孝、平幹二朗のキャスト陣と演出の蜷川が出席。写真撮影時には、昨年5月に外傷性脳内血腫と脳挫傷により入院していた唐十郎が登場し、健在ぶりをアピールした。両作品ともに、東京公演はBunkamuraシアターコクーン、大阪公演はシアターBRAVA!にて上演される。