――今回の映画では小川蘇美を中心にストーリーが展開します。

撮影までの間、少しずついろいろな役をやらせていただいたので、感覚を取り戻すために原作を読みなおして、ドラマも全部見直しました。ただ、ドラマの時と同じようにしようって思っていなくて、映画での小川蘇美ちゃんを表現できたらいいなと思っていました。

――映画にも登場しますが、鈴木先生の妄想は本作の名物シーンですよね。最初にそのシーンを演じた時、どんな印象でしたか。

原作では裸になっていたりしたので、私はこの作品にお嫁に行く覚悟で臨まないといけないなと思いました。でも、実際にやってみたら充実した毎日でしたし、楽しくやらせていただきました。真面目にやればそこまでおかしくないというか…みんな現実のシーンも妄想もシーンも同じように演じられていたので、そのせいかもしれません。

――そのほか、今回の映画の撮影で印象に残っているシーンはありました?

生徒会選挙で立候補した出水正役の北村匠海くん。彼は映画までの約9カ月間、いろいろな作品を経てきたみたいですごくプロ意識が高くなっていました。身長が伸びたとか、そういう外見的な部分だけではなくて、役柄の内面を自分が表現したい部分に近づけようと頑張っているように感じて、負けてられないなって思いました。

――小川蘇美は空手の経験者という役柄でしたけど、土屋さんも実際にやられてたんですか。

やってないです(笑)。でも、小さい頃からクラシックバレエをやっていて、高校生になってはじめた創作ダンスは、足をあげたり結構アクロバティックな動きがあったり。そういう小さい頃から培ってきたことが、今回の役柄にも生かせたのかなと思います。きっと実際に空手をやっていらっしゃる方は甘いと思うかもしれませんけど、一生懸命やらせていただきました(笑)。

――芸能界デビューはオーディションがきっかけだったそうですね。

小学5年生の時にオーディションに応募しました。小学4年生の時に劇の会があってみんなやりたい役を言ってたんですけど、当時の私はしゃべることがすごく苦手だったので黙っていたら、勝手に酔っぱらい役に決まっていたんです(笑)。ただ歌ったりするだけで、自分としてはそれがあまり面白くないと感じたので、ちょっと小道具を変えてみたり、歌い方をちょっと工夫してやってみたら、見てる方がすごく面白がってくださって拍手をしていただきました。そこで、演じることの面白さとか、観客との一体感などを初めて感じました。

――振り返ると、すごく運の要素が強いきっかけだったんですね。

そうですね。今、私がこうして頑張っている姿を小学校当時の親とか先生からしてみれば、ありえないことだと思います。スポーツばかりやっていましたし、声もガラガラになるくらいうるさくて、男の子たちとも蹴り合いしたりして(笑)。

――小川蘇美ちゃんとはだいぶイメージが違いますね。

成長したんだと思います。オーディションは新聞広告に「MISS PHOENIX」オーディションの募集を見たのがきっかけです。私の名前の「太鳳」の「鳳」が、フェニックスを意味する「鳳凰」の「鳳」と一緒なので興味を持ったんです。期限が過ぎていたんですけど、送ってみたら合格通知が来ました。

――最近、女優として生きる覚悟ができたとブログに書かれていましたが、何か心境の変化があったのでしょうか。

もともとこのお仕事をしたいという思いは強かったんですけど、周りを見渡せば自分よりも背が高い方や、演技がうまい方、歌もうまくてダンスが踊れて…その中で自分がやっていけるかはわからないですし、どういう出会いがあるかもわかりませんので少し不安に感じていたんですけど、初主演映画(『果てぬ村のミナ』)のはままつ映画祭で舞台あいさつをさせていただいた時に、浜松の方がすごくあたたかく迎えてくださったんです。自分が半端な気持ちだったら、こういう風に応援してくださる方にも申し訳ないなと思いまして。それで、自分は絶対に女優になると心に決めたんです。


本作は武富健治原作の同名コミックの映像化作品で、2011年4月からテレビ東京系列で放送されたドラマシリーズの続編。

2学期がスタートし、鈴木先生と生徒たちが生徒会選挙と文化祭の準備に追われる中、ドロップアウトしてしまった卒業生・勝野ユウジ(風間俊介)が小川蘇美を人質に立てこもるという事件が発生する。

2013 年1 月12 日(土)より、角川シネマ新宿、丸の内TOEI、渋谷TOEI 他にて全国ロードショー。