「親方が新弟子に『お前、相撲ナメてんだろ』新弟子は何をした?」のお題にイラスト付きで回答するダ・ヴィンチ・恐山(中央)。

去る11月25日、東京カルチャーカルチャーにて「第1回この中で一番大喜利が強いのは俺だ!!選手権」が開催された。このイベントは長田悠幸の青春大喜利マンガ「キッド アイ ラック!」1巻と、第4回「ギャグ漫画家大喜利バトル!!」の優勝者ダ・ヴィンチ・恐山による初単行本「『くーろんず』シリーズ 空論基礎・I」の発売を記念したもの。

イベントは参加者が2名ずつに分かれて行うチーム対抗トーナメント形式。長田悠幸とダ・ヴィンチ・恐山の「主役チーム」をはじめ、太田垣康男と大和田秀樹の「機動する戦士チーム」、押切蓮介とマフィア梶田の「アンダーグラウンドチーム」、葉月京と後藤晶の「セクシー漫画家チーム」、そして月刊ビッグガンガン(スクウェア・エニックス)の投稿コーナー「オオギリの研究」からハガキ職人2名が参加した。

解説を務めるのは「ダイナマイト関西」の創始者であるバッファロー吾郎A。登場するやいなや、「こんな面子でなにが『大喜利が強い』だよ! 本当に強い奴らを呼んでいるから、こいつらの加入を認めろ!」と、当初から“乱入予定”と告知されていた爆笑丸坊主軍団のアホマイルド・クニ、Bコース・ハブ、ピンポンパンポン・阿久津大集合の3人を呼び込む。司会のどきどきキャンプ・佐藤は「加入を認めるも何も、入り時間をきっかり守っていただいてたので」と予定調和の乱入を認め、無事、大喜利選手権がスタートした。

まず行われた予選Aブロックで戦うのは、長田と恐山の「主役チーム」、太田垣と大和田の「機動する戦士チーム」、押切と梶田の「アンダーグラウンドチーム」の3組。お題「親方が新弟子に『お前、相撲ナメてんだろ』新弟子は何をした?」では、恐山の「モンゴルでサッカー」という実在の人物を想起させる回答を皮切りに、長田、大和田、太田垣、梶田がテンポよくお題に答えていく。普段マンガ制作ソフト「コミPo!」を使用して執筆している恐山は、貴重な手描きのイラストを交えつつ回答する場面も見られた。終盤に差し掛かると、これまで沈黙していた押切が初めて挙手。「思いつかなかったので、絵だけでいいですか」と、丁寧に描き込まれたイラストを披露した。

「穴埋め問題『殴ったね!』(  )」では、「機動戦士ガンダム」の名ゼリフということもあり、「機動する戦士チーム」の回答にも期待が高まる。ここでは太田垣のガンダムや大和田のシャアなど、イラストを用いての回答が多く見受けられた。そんな中、梶田は「殴ったね!シャブやってるから痛くないよ」「ヒロポンやってるから痛くないよ」といった際どいネタを連投し、会場を不穏な空気に。

続くお題は「隠しコマンドを入力すると2Pカラーが使える格闘ゲーム。では超隠しコマンドを入力したときはどうなる?」。ゲーマー押切とゲームライターの梶田には有利に思えるお題だ。梶田は「高橋名人が使える」「相手は死ぬ」など冴えた回答を見せつけ、押切はアーケードスティックのボール部分が飛んでいく絵や、ゲーム機が爆発する絵など、イラストのみで会場を沸かせるも、結果「主役チーム」が合計20ポイント獲得で勝利し、決勝へのコマを進めることとなった。「台本通りですね」と余裕を見せる恐山に対し、長田はほっとした表情を見せる。だが他のメンバーは結果発表の後も答え足りない様子。大和田は「エヴァンゲリオン初号機が使える」、太田垣は「シャアザクも使える」と、イラスト入りで回答を続けようとする。

予選Bブロックは葉月京と後藤晶の「セクシー漫画家チーム」、「オオギリの研究」ハガキ職人チーム、爆笑丸坊主軍団の3組。第1問「『このタモリさん、偽物だ!』なぜそう思った?」では、阿久津が「驚いたよ、まさか生身の人間にタモリ80%を見せることになるとは」と、「幽☆遊☆白書」の戸愚呂弟に似せたタモリを描き会場の爆笑を誘う。

続いてのお題「ハゲという言葉を使ってカッコイイ文章を作ってください」は、丸坊主軍団にとってサービス問題となるか。彼らが「クローズ外伝ハゲ」「ハゲ、三浦ハゲ」などシンプルな回答で猛追する中、葉月はバッファロー吾郎Aの似顔絵に「カッコイイ」という言葉を添え披露。これにはバッファロー吾郎Aも「賞金1億円をあげてください!」とご満悦の様子だ。そんなバッファロー吾郎Aの気持ちとは裏腹に、結果は19ポイント獲得で爆笑丸坊主軍団が勝利。これには「空気読め」と会場からもブーイングの嵐が巻き起こるが、丸坊主軍団は「ノーヘアー!」と意味不明な言葉を勢いよく叫び応戦。なんとか決勝へと進むこととなった。

決勝戦を行う前に、ダ・ヴィンチ・恐山による「Twitter大喜利」のコーナーがスタート。事前にTwitterにてお題を発表し、ハッシュタグを利用して回答を募集していたこの「Twitter大喜利」、1日で700をも超える回答が集まった。お題は「アイドルの等身大パネルがこんな風に使われていたらイヤだ!」。中にはコザキユースケによる「大友克洋先生がゆる~いカーブの曲線を引く時の定規」という回答も。そのほか田中圭一や木吉紗、長田悠幸、町田一八、コザキユースケ、赤松中学、河井克夫、おおひなたごう、七月鏡一らの投稿も見られた。

そしてついに決勝戦へと突入。恐山と阿久津は「穴埋めお題 王様『おお勇者よ!( )なんて情けない』」と「『友達の友達から聞いた話しなんだけど……』より信憑性が低そうなトークの始まりとは?」のお題で、長田とクニは「魔法少女アニメで子供がドン引き。いったいどんな内容?」「『見ざる・言わざる・聞かざる』にもう一匹追加されることになりました。どんな猿?」のお題で対決。長田は「とけこめざる」という回答でバッファロー吾郎Aから「風刺賞をあげたい」と絶賛されるも、最終的に「はずかしがる」と、猿とはかかっていない回答を出してしまう。

ここから2対2の勝負が繰り広げられるというとき、爆笑丸坊主軍団が「みなさん!UFOがあちらに!」と、ステージから観客の目を逸らそうとする。そして来場者がステージへ目を戻すと、そこにはマフィア梶田の姿が。「海ざるを追加しようとするも作者と揉める」という大和田からの回答を書いたフリップを見せながら、丸坊主軍団に臨時加入することを明らかにした。梶田の加入の甲斐あって、この後は丸坊主軍団が猛攻を見せるも、結果は見事「主役チーム」の勝利。「ヤラセだろう!」と怒る丸坊主軍団に対し、恐山は「前のビッグガンガンのイベントでは(丸坊主軍団)に負けたが、やっと空気を読ませた」と勝者の余裕を見せつけた。

優勝は「主役チーム」の2人に決定したが、イベントのタイトルが「この中で一番大喜利が強いのは俺だ!!選手権」と、1人称になっていることから、長田と恐山で決着を付けるエクストラバトルを行うことに。ルールはそれぞれ5分の持ち時間でポイントを加算していく「オオギリダイバー」形式。恐山が先手、長田が後手を取り、「狐のお面をかぶっているヤツがこんなことをしていたらイヤだ」「大晦日、視聴率60%を狙った話題の大戦『◯◯◯vs◯◯◯』」「オーケストラでのいじめの内容を教えて下さい」の3問に回答していく。結果、10対11という僅差で恐山が勝利。「ギャグ漫画家大喜利バトル!!」チャンピオンの強さを見せつけ、イベントは盛況のうちに幕を閉じた。なお12月25日に発売される月刊ビッグガンガン 2013 Vol.01の「オオギリの研究」では、イベントに参加した作家陣からプレゼントが用意される予定なので、ファンはこちらもお見逃しなく。