例えばこれまでの「町会議」や「文化祭ツアー」では、必ず出演したニコニコユーザーによる歌やダンスのパフォーマンスがあったし、他にも屋台や射的、ゲーム実況といったニコニコ動画ならではのコンテンツが用意されているのが常だったのだが、今回はメインステージと、漫画家の町田とし子による似顔絵コーナー、そしてロケバスに設置された「ニコニコ先生相談室」と名付けられた定点カメラのみ。いつものイベントに比べると、ニコニコ成分は半分くらいだったのではないだろうか。

単純にスペースの都合もあったのかもしれないが、それ以上にイベントの母体である高専祭を盛り上げる方向に専念しているような印象を受けた。実際、ニコニコ生放送では、学校内をめぐって出し物を紹介したり、別の場所で行われている企画を実況中継したりと、より"高専祭を紹介する"ことに注力したコーナーが充実していたのだ。

男子生徒が本気で女装するコンテスト企画「MAKEミラクル」

トーナメント方式で争う「癒し系ミュージシャンライブ」

これぞお祭り! という雰囲気

学校に来る機会なんてそうないので、何だか新鮮な気分である

校内では科学実験の企画も。訪れる子どもたちを丁寧に指導する同校の生徒

生徒が制作したゲームも展示されており、子どもが遊んでいた

出演者のぽこたは「歌ってみた」で絶大な人気を誇る歌い手。この日もたくさんのファンに囲まれていた

ロボコン常連校の北九州高専らしいロボット紹介企画も

留学生による模擬店ではちょっと珍しい「ゲフ」という食べ物を販売。即完売の人気となっていた

あふれでる文化祭感

いわゆるゴム鉄砲のガトリングガン。ちゃんとゴムを連射できる機構付き

シャボン玉の中に入れるというコーナー。こうした化学系の展示が充実しているのも高専ならでは

いつもより控えめな印象のイベントとなったニコニコ文化祭ツアーだが、結果としては成功であったように思う。なぜなら、男子生徒が女装するコンテスト「MAKEミラクル」や、No.1のイケメンを決める「エエ男グランプリ」、ロボコン常連校ならではのロボット紹介企画、生徒による「癒し系ミュージシャンライブ」など、高専祭自体に面白いコンテンツがあふれており、それをMCによる実況付きで中継するだけでも十分に楽しめたからだ。

特に見どころだったのは3回にわたって行われた「学校ぐるり紹介」。人気ユーザーの"ドグマ風見"が中心となって校内展示や模擬店を紹介するコーナーで、ニコニコ生放送視聴者にとっては、普段なかなか見ることのできない高専の文化祭を疑似体験できる貴重な機会になったのではないだろうか。

筆者にしても、今回ニコニコ動画と高専祭がコラボレーションすることがなければ、高専祭を取材することはなかっただろうし、校内に足を踏み入れることもなかっただろう。そう考えると、今回ニコニコ文化祭を誘致した同校生徒・前田奨平さんがあいさつで述べた、「これを機に北九州高専をもっと知ってほしい」という目的は十分に果たせたのかなと思うのだ。

歌や踊りなどのパフォーマンスを取り入れたニコニコ動画らしさあふれるイベントも楽しいのだけど、こうやって主役を盛り立て、全国にアピールする手助けをするのもまた、若者に強い影響力を持つニコニコの大切な役割なのだろう。