押井監督からfacebook創設者マーク・ザッカーバーグについてどう思うかを聞かれた夏野氏は「パクリ男ですよ!」と一言

この夏野氏の意見に押井監督も同意しつつ、「日本のメーカーは生活に合わせて製品を作る。でも生活のスタイルを製品で変えようとはならない」と、日本メーカーが人々のライフスタイルを変化させるほどの影響力を持った製品を作れない現状に疑問を投げかけた。では夏野氏が「すべての経営者が読むべき」と絶賛する押井監督の代表作『攻殻機動隊』の"リアリティ"とは何なのか。そもそもSFにリアリティを持たせるとはどういうことなのか。

押井監督は「妄想にリアリティを持たせる」手法として、「生活のディテールに立ち入りやすい存在」を主軸にするのだという。それ故に押井監督の作品では「警察」が登場するのだ。

押井監督:「例えば学校なんかは共通のルールがあるから、物語の舞台にしやすい。僕の映画の場合はそれが警察だった。警察は手帳と捜査令状があればどこにでも入っていけるから話を作りやすい。これが軍隊だと訓練ばかりで有事じゃないと動けないから。警察や探偵が物語のテーマになりやすいのは、どこにでも入っていけて、自分の利害で動いていないから。だから僕の作品は学校物から出発して警察物に行った。『スカイ・クロラ』では初めて軍隊にいったけど」

そんな押井監督からは、「攻殻機動隊」に関する驚きの裏設定が語られた。

押井監督:「素子は僕の設定では47、8歳。サイボーグだからね。本当は50代っていう設定だったんだけど、けっこう遠慮して47、8歳。でも現場の連中は20代でしょっていう。傭兵の少佐なんだから、20代とかありえないんだけど」

押井監督によると、宮崎駿監督はずっと息子のために映画を撮っていたのだという

50歳でも20代に見える素子の存在から、押井監督は「人間は大人になるのか」というテーマを導き出す。

押井監督:「人間は子どものまま成熟するんですよ。うちには猫が8匹いるんだけど、面白いのは"大人のスイッチ"と"子どものスイッチ"があって、切り替わるんです。大人のスイッチが入っているときは気位が高くて、子どものスイッチのときは触ると寄ってくる」

そうした大人と子どものスイッチは人間も持っているが、男性と女性ではスイッチの有無が異なっているのだという。

押井監督:「男の子はそうでもないけど、女の子は時々(大人の)スイッチが入る。男の場合は大人のスイッチがいらないのかも。大塚明夫の名言で、『俺を大人だと思うな!』っていう言葉があるんだけど、男は男の馬鹿なところを全部許すよね。女性は許さない」……続きを読む