「コラアゲンはいごうまん」取材力のひみつ
では、彼の何が相手の心を開かせるのか。そのことについて彼はこう自己分析する。
コラアゲンはいごうまん:「舞台にかける執念。行くしかないという執念がにじみ出ているから、取材する人たちも心を開いてくれるんじゃないですかね。彫師さんを取材した時も、それが上手だったら、ここまで受け入れていないと思います。未だに言われますよ、お前の取材はひどかったって。飯はおごらすわ、取材なのに一言もしゃべらんわ、目も合わせへんわ、声もちいちゃいわ。あと、おもろないわって(笑)。その取材者として0点な感じが興味深かったと言われてました」
とはいえ、その人の懐に入っていく武器はきっとあるはず。何度か探りを入れたところ、彼はあるホームレスとのエピソードを交えて話してくれた。
コラアゲンはいごうまん:「ホームレスの方が売っているBIGイシューという雑誌があるんですけど、1冊300円でそのうち160円がホームレスの方の取り分なんですね。福岡にいる60歳の方を取材した時だったんですけど、まずはやっぱり買わないとと思って買おうとしたら、その時点で向こうから大変そうと思われたんでしょうね。原価の160円で売ってくれようとしましたからね(笑)。これはアカンと思って無理やり300円払ったら、バックナンバー2冊つけてくれました(笑)。やっぱり芸人として売れてないというのは大きな武器ですね。かといってわざと売れてないわけちゃいますよ(笑)」
意外な武器を語るコラアゲンはいごうまんだが、10月1日(月)に東京・新宿プーク人形劇場での単独DVD第2弾の収録ライブを行った。その模様を収めたDVD第2弾の発売も決定している。芸人として”売れた”とも言えそうな状況だが、彼は少々照れながらもこう話す。
コラアゲンはいごうまん:「売れちゃいましたかねぇ、我慢してきましたからね~。ただ、なにをもってして売れるかというのにもよりますけどね。闇雲にテレビに出るというのもおかしい気がしますしね。ぶれていると間違いなく自分の中で崩壊しますからね。僕の中では、1年間365日のうち、360日くらいスケジュールが埋まっていればそれは売れてる状態だと思うんですよね」
インタビュー終了間際、どうしても気になっていた名前の由来について尋ねてみると、「そこ、気になります!?」と言いながら、また彼独特の話芸を披露してくれた。
コラアゲンはいごうまん:「12年前は森田嘉宏(もりたよしひろ)っていう本名でやってたんですよ。当時吉本に入っている頃で、社員さんに『名前も顔も地味やし、そんな地味な奴がこんな世界で売れるわけないやろ』って言われて東京に出てきたんですよ。それで次は名前だけでも派手にいってやろうと。
で、当時、”コラーゲン配合”というのをCMで聞いてこれはキャッチーやなと。なんで”コラーゲン”ではなく”コラアゲン”なのかというと。喰さんの知り合いの姓名判断のおっさんが絡んでくるんですけど、7年前くらいですかね、福岡で喰さんとその人と飯食ってる時です。その時は”コラーゲン配合マン”だったんですけど、そのおっさんに『この画数だったら100%売れない』と言われて、それから45歳で死ぬって言われたんです。喰さん爆笑してたんですけど、こいつを生かしておいたら売れるから救ってほしいとお願いしてくれて。結果、”コラアゲンはいごうまん”になったんです。200%売れますと。胡散臭いなと思ったんですけど、それも体験取材になるからやってみようと。
その後、おっさんと3年半ぶりくらいに再会したんですけど、むちゃくちゃ平謝りされたんですよ。確かにその時も売れてなかったから、まぁそれは仕方ないことだから自分の問題ですし、気にしてなかったんです。それでも謝ってくるんです。いや、いいですいいですと。んで、なんて言われたと思います? 姓名判断のプロがですよ、
『画数数えるの間違えた』
それはアカンやろと(笑)。間違うたんですかと聞いたら『1画だけ間違えた…』って。じゃあ、200%売れるという話はどうなったんですかと聞いたら『200%人を不愉快にする画数でした…』。それを喰さんに報告したら、笑いながらこう言われました。『ほら、おもしろくなったでしょ』」
DVD『コラアゲンはいごうまん 実録・体験ノンフィクション漫談』発売中(2,940円) 発売・販売元:ハピネット (C)2012ハピネット
厳選ネタをライブ収録。「刺青人情講和~12人のコワアッタカイ彫師~」「サクラサク?奴隷入学試験」「教育とは楽しいもの?」「コラアゲンVS地縛霊」などのほか、特典映像として本編にも登場する、体験ノンフィクション漫談で出会った人々のインタビューが収録されている。第2弾は12月21日(金)発売。収録ライブで披露した「優勝」「インドへ行く」「刑務所慰問」(タイトル仮)などのネタと特典映像が収録予定。