俳優の阿部寛とお笑い芸人の村上ショージらが16日、11月23日(金)に公開となる映画『カラスの親指』の完成記念会見に出席した。

劇中で"迷"コンビのタケとテツを演じた、阿部寛(左)と村上ショージ

同作は、直木賞作家・道尾秀介の本格ミステリー小説を映画化した作品。悲しい過去を背負い、サギ師になった阿部寛演じるタケと、成り行きでコンビを組むことになった新米サギ師・テツ(村上ショージ)を中心に物語は進行し、ある日突然、2人のもとに美人姉妹(石原さとみ・能年玲奈)と一人のノッポ(小柳友)が転がり込んだことが5人を一世一代の大勝負へと導くことになる。そして、ラスト20分で仰天の真実が明かされる。

会見には阿部寛、村上ショージのほか、原作者の道尾秀介も出席。主演を務めた阿部は「見た人を元気に、あたたかかい気持ちにさせてくれる作品です」と本作を紹介。続けて、「若い方も多かったので、現場の雰囲気をそのまま出せばいいと思いました」と撮影現場を振り返っていた。一方、村上は「死ぬまでに自分の代表作ができたのはとってもうれしいです。吉本をやめてもこの作品があるからいい…と思えるくらいすばらしい作品」と感無量の様子。出演に際しては「阿部さんに会えるということだけで浮かれていました。現場に入ってあらためて役者のすごさを感じ、そんなところに自分が参加できたのが今でも信じられません」と語っていた。

阿部寛

村上ショージ

原作者・道尾秀介

会見後のフォトセッション

互いの印象について、阿部は「(村上さんは)今まで演技をやっていて周りにいなかった人。しゃべりのプロの方なので、コンビネーションを組んだ時に、知らない間に空気を埋めてくださっていて、それはすごいなと思いました」と村上を絶賛。対して村上は「共演のシーンでの阿部さんはセリフを読んでいるとは思えない自然な演技で、ふと顔を見た時に『この人むっちゃカッコエエな~』と思いました」と感動の瞬間を振り返り、夢うつつの状態で村上が「こんな人とコンビを組んでやってたら本当に楽しいん違うかなと思いました」と言うと阿部は即座に「お断りします」と一蹴。すかさず阿部が「冗談ですよ(笑)」とフォローすると村上はホッとした様子で満面の笑みを見せていた。

また、完成した作品を見た原作者の道尾は「本当にすごくいい物語でした。映像化して初めて原作の良い部分も見えてきました」とコメント。「読者に想像してもらうのが小説の強み。借家のシーンでは、室内の描写を原作で1行も触れていなかったんですが、映像を見ると自分のイメージそのままで驚きました」と自身初の映画化で、思わぬ発見があったエピソードを明かした。

会見中、3人の後ろ立てかけられていたパネルの右上には「?」の札が垂れ下がっていた。終了後、阿部がその「?」をめくると、パネルの下からは「村上ショージさん 全国プロモーション行脚の旅 決定!!」の文字が登場。それを見た村上は「えっ! おれ、これ聞いてないで!」と取り乱しながらも、スタッフに促されると、昇り旗を背負って早速ひとり行脚の旅へと出発した。