人気のテーマパークに行くと、どうしても避けられないのが順番待ちですよね。テーマパーク以外にも、人気の飲食店や施設などで順番待ちをしていてイライラすることって多いですよね。行列に並んでいる間、恋人と会話がなかなか続かなくて、気まずくなってしまったという経験をお持ちの方もいるのではないでしょうか。行列に並んでいるときにイライラしてしまう気持ちを克服する良い方法はあるのでしょうか? 心理学者の内藤誼人先生に聞きました。
行列でイライラしないテクニック
「人間が一番時間を忘れられるのは、人とのおしゃべりだと言われています。行列に並んでいるときに、恋人をイライラさせないようにするには会話を盛り上げること大切です! 会話能力が高い人なら、行列を克服できると言えるでしょう。一方、『会話に自信がない』と自覚がある方は、恋人と行列に並ぶのは避けた方が良いと思います。話題がなくなり沈黙が続くと、お互いストレスがたまりますからね」
内藤先生によると、付き合いはじめのカップルの場合、混んでいるデートスポットや人気飲食店に行かずに、空いている場所に行くのが良いとのこと。それでも恋人が人気店やテーマパークに行きたいという場合は、平日の空いている日に行くか、もしくは何人か友だちを誘ってグループで行った方が、行列も楽しめるという。
行列に入ると人は抜けられなくなる
ところで内藤先生、イライラするのが分かっていても行列に並び続けてしまうのには、どんな心理が隠されているのでしょうか。
「人間は行列に入ると抜けられなる傾向にあります。『せっかく並んだのに今行列から抜けたら、これまで並んだ時間や労力が丸々無駄になってしまうのでもったいない』という気持ちになってしまうのです。これを心理学では、『サンクコスト現象』と言います。サンクコストというのは直訳すると沈んだ費用という意味で、過去にすでに支払っていて取り返すことができない費用、時間、労力のことを指します。人間は、もう戻ってこないコストを気にするあまり、合理的な判断ができなくなるのです」
元々「サンクコスト」は、経済学で使われる用語。例えば、値上がりを期待して買った株が値下がりしても、「いつか値上がりするはず」と期待し、損が出ることを承知で株を売る「損切り」がなかなかできないのは、サンクコストが判断を鈍らせているからなのだとか。内藤先生によると、泥沼の恋愛から抜け出せないといった状況も、今まで自分が払った時間や労力、お金が無駄だとは思いたくがないために、別れるという選択ができなくなってしまうのだそうです。
合理的な判断をしようとするなら、過去のサンクコストは一切に考慮に入れてはならず、今後期待できる利益だけを判断基準にする必要があるようです。では、私たちが冷静に合理的な判断ができるようになる方法はあるのでしょうか。
「良い方法がありますよ! ノースウエスタン大学のブライアン・グニアという心理学者のレビュー論文によると、何かを始める決定者とそれを止める決定者を分けるのが良いそうです。例えば、テーマパークに行った際、どのアトラクションの行列に並ぶのかは自分が決定し、行列に並び続けるのか並ぶのを諦めるのかという判断は恋人にゆだねるといいでしょう。他者に判断を任せると、たとえ行列を抜けたとしてもスパっと頭を切り替えることができるはずですよ」
なるほど! 他者に判断をゆだねたら良いんですね。内藤先生によると、部屋の片づけが全くできないという人にも応用可能だそうです! 何を買うかは自分が決める。でも何を捨てるかの判断を友だちや恋人にお願いすると、未練を残さず物も捨てられるようです。
行列だけでなく、投資、恋愛、片づけ……さまざまな分野で活用できるこのテクニック。一人で悩んでいるとサンクコストに惑わされしまいがちです。判断に迷うことがあったら友だちや恋人に相談してみましょう!