歌舞伎俳優の中村獅童が21日、神奈川県片瀬海岸の海の家に1日限定でラーメン店「湘南獅龍軒」(しょうなんしりゅうけん)をオープンさせ、特設ステージでトークショーなどの開店記念イベントを行った。

オリジナルラーメンをプロデュースした中村獅童(中央)、第8代JSAキャンペーンガールの佐々木華奈(左)とグラビアアイドル丸高愛実がイベントに花を添えた

最高気温24度、そしてあいにくの曇り空。7月中旬としては過ごしやすい陽気のこの日、いつもは海水浴客で溢れる海岸もまばらだった。登壇した中村は開口一番「いやぁ~! もう、すっかり夏だね~! 夏っぽいもんね~。江ノ島もすごい人だもんね。今日5万人だって? すごいね~」とジョークを飛ばし、まずは会場を沸かせた。

この日、初お目見えとなった中村獅童プロデュースのラーメン「湘南獅龍麺」は、神奈川屈指の人気ラーメン店「麺やBar 渦」・大西芳実氏とのコラボレーションによって生まれた一品。中村は湘南に来た際は必ず寄るほど「麺やBar渦」のファンで、ラーメン通の彼にとって大西氏は憧れの存在。常連客である中村の強いの意向もあり、夢の企画が実現した。

「麺やBar 渦」・大西芳実氏(右)と開発過程を振り返る中村獅童

イベントには江ノ島海水浴場営業組合・片瀬東山海岸組合長(中央向かって左)、藤沢市市長の鈴木恒夫氏(中央向かって右)も出席

気になるラーメンは藤沢産のハマグリ、鶏ガラ、豚ガラなどを使用した湘南和風出汁。具材として、藤沢産シラスを使ったつみれ「シラスボール」、長ネギ、生姜など多くの藤沢地産品が使われている。中村はまず、大西氏に「湘南っぽさを出したい」とラーメンのテーマをオーダー。「おでんのつゆってみんな好きじゃないですか。それと同じように、一口飲んでみんながおいしいと思ってくれて全部飲み干してしまうような、そんなスープを目指しました」と開発過程を振り返っていた。

イベントに駆け付けた大西氏は「苦労した点はないんですよ。獅童さんは最初の打ち合わせから、順調に意見の交換ができまして、私が思っていることともフィーリングが合ったみたいで。その時点でだいたいできあがったイメージで試作品を作ったんですが、獅童さんに一発でOKを頂きました」とエピソードを明かした。最初の打ち合わせからわずか2週間ほどで「湘南獅龍麺」は完成した。

中村獅童プロデュースのラーメン「湘南獅龍麺」(本人調理)

ちなみに「湘南獅龍麺」のネーミングの由来は、中村獅童の『獅』と、湘南・江ノ島のシンボル『龍』を組み合わせたもの。湘南は中村にとって、幼少期に故・萬屋錦之介とラーメンを食べた思い出の場所だった。

鵠沼(くげぬま)に親戚が住んでたこともあって、小学生の頃の夏休みはよく訪れていたという中村は当時を「親戚のお兄ちゃんにサーフィン教えてもらったり、音楽とかオシャレとか、すごく湘南に影響を受けましたね」と当時を振り返っていた。ここまで「湘南」にこだわったのはそうした経緯があるからで、また、震災後に観光客が激減したことも彼を突き動かした要因だった。

トークショーに続いて行われたのは、中村獅童本人が作るラーメンを1名限定で振舞う企画。先ごろ行われたYahoo!チャリティーオークションの落札者が、この栄えある1名に選ばれた。67,666円で落札した大阪府在住の赤井達治さんは、壇上で「今日はこれを食べるためだけに大阪から来ました」と挨拶すると会場からはどよめきが。それを聞いた中村は「ありがたいですね~。これでラーメンまずかったら最悪ですよね(笑)」と不安げだったが、「でも、絶対に自信があります! …まずくてもおいしいって言って下さいね(笑)」と言い残し厨房へと消えていった。

調理中の様子

大西氏が見守る中調理開始

慎重にスープを注ぎ

真剣に、かつ豪快に湯切り

具材を手際よく乗せ

そしていよいよ完成!

調理後、中村からラーメンを差し出された赤井さんは満面の笑みで「いただきまーす」と豪快に麺をすすった。食後の感想を固唾を飲んで見守る中村。ズズズっという麺のすする音の後に出てきた「おいしー!」のコメントに、中村をはじめ会場からは歓声が沸き起こった。

大盛り上がりのイベントもそろそろお開きに。中村は「夏はこれからですからね。ぜひ湘南獅龍麺を食べていただきたいと思います。みなさん、今日は炎天下の中、本当にありがとうございます。37度? この夏一番の暑さですからね」と最後もジョークで締めくくろうとしたところ、彼の目の前をトンボが通過。「あっ、トンボが飛んじゃってる…もうイヤになっちゃうね。ちょっとしたコントだね(笑)」と季節外れの片瀬海岸にたじたじの様子だった。

大阪から前日入りしたオークション落札者の赤井達治さん

イベントには湘南ベルマーレマスコットキャラクターのキングベルI世(左)も登場

店舗外観