2013年4月1日より放送がスタートするNHK連続テレビ小説の制作発表会見が4日、東京・NHK放送センターにて行われ、タイトルは『あまちゃん』、脚本を宮藤官九郎が担当することが発表された。

初のNHK連続テレビ小説の脚本を手がけることになった宮藤官九郎

現在放送中の『梅ちゃん先生』、下半期の『純と愛』に続く第87作目となる『あまちゃん』は、東北・北三陸にある架空の小さな田舎町が舞台。主人公は、東京で引きこもりがちだった高校2年生のヒロインで、母の故郷で祖母をはじめとした"海女さん"と出会い、思いがけないことから「地元アイドル」として人気を得ることに。小さな田舎町に誕生した1人の地元アイドルが挫折・奮闘しながら、"海女さん"を目指すうちに笑顔あふれる女性へと成長していく姿が描かれる。

会見には、宮藤と訓覇圭(くるべ けい)プロデューサーが登場。訓覇プロデューサーは、タイトルについて『あまちゃん』を「海に潜る"海女さん"の話と、まだまだ人生の"甘ちゃん"の女性をかけている」と説明。序盤は緊張した面持ちだった宮藤は「わりと軽い感じで『あまちゃん』って言ってしまったんですけど、これで『あまちゃん』だそうです。朝ドラっぽいかなと」と話し、報道陣の笑いを誘った。脚本を宮藤に依頼したきっかけは、宮藤が元々田舎を好んでおり、田舎を題材とした村おこしの物語を書きたいという話が上がり、実現に至ったという。

宮藤は、連続テレビ小説の執筆は初挑戦となる。「こんなに長い物語を書くのも初めてだし、ご覧になる方々も今までの層とは変わって、僕のことを知らない方が見ると思う。逆に今までの自分のクセみたいなものが通用しないんじゃないか……というかそれも楽しみ」と、苦にならないことを強調し、「あと15分で盛り上がる話が書けるのかとも思う。どのくらい大変か分からないんですが、分からないまま終わっちゃえばいいなと思ってます」と気負いなく語った。

本作では、「アイドル」が重要なキーワードの1つになっており、宮藤は「その土地に行かないと会えないアイドルがいるっていうのはいいかなと思いまして。それに、女の子が歌ったり踊ったりするばかりがアイドルではないと。電車でもエリマキトカゲでもいいんですけど、それを見て元気になった時代が昔にあったんです」と話し、まわりを元気にし、笑顔にしてしまう存在そのものと説明した。

自身が宮城県出身で、本作の舞台が東北であることから、東日本大震災との関連性も気になるが、宮藤は「このドラマの舞台設定は震災前で、震災までいくかはまだ未定なんです。震災そのものを描くことではない」としながらも、「少し前に朝ドラを書くらしいと話を聞いて(母が)すごく喜んでいたので、東北を元気づける前にうちの母を元気づけられましたので、この勢いで皆さんも元気になっていただければ」と東北への思いを語った。

また、朝ドラへの印象については「母や父やおばあちゃんが朝ごはんを食べながら、もうすぐ始まる始まるって見て、あー面白かったと仕事に出かけていく。毎日の生活の中に織り込まれている動作のようなもの」と表現。本作のオファーで、「まさか自分が書くことになるとは思っていなかった」と話したが、朝ドラ自体は「『雲のじゅうたん』ぐらいからみたりみなかったり、ハマったりハマらなかったり……『はね駒』ぐらいからは朝ドラを見てから学校へ行くことが習慣になっていた」と、昔から親しみがあったという。

キャストは現在選考中のため追って発表となるが、ヒロインについて宮藤は「朝ですから、元気があることには越したことはないんですけど、元気がいきすぎるとちょっと……。その部分を使い分けられる人がいいですね。毎日毎日、海に潜ってる。ただそれだけのことなんだけど、それを見ている人からすると彼女を見るとがんばろうかなという気になる」と自身のイメージを明かしている。

ヒロインは現在オーディションを実施中で、「7月決定を目指している」(訓覇プロデューサー)。クランクインは10月中旬を予定しており、撮影の半分は岩手県久慈市などでのロケとなるという。ドラマは2013年4月1日よりスタートし、同年9月28日まで全156回の放送を予定。