例年4月に大改革が行われるのがテレビ界の慣例で、今年もさまざまなテコ入れがあった。なかでも注目は、“ゴールデン昇格”と“リニューアル”された番組。

過去のケースを見ると、さらに人気を獲得する番組もあれば、内容の劣化やファン離れで打ち切られる番組も少なくない。各局が自信を持って送り出す、今クールの目玉番組はどうなのか? その変化と未来を占ってみよう。

※【☆☆☆=満点】

『ピカルの定理』フジテレビ系 土曜23時→水曜22時

デビューイベントも華々しく開催した白鳥美麗

わずか1年半で2度目の昇格、しかもフジテレビ伝統のバラエティ枠・水曜22時に抜擢されるなどノリに乗っている。着実に視聴率を上げ、イベント動員もうなぎ昇り。今年の元旦に4時間生特番が放送され、ハライチの岩井勇気が丸坊主になるハプニングもあり、話題を集め続けてきた。

今回の昇格に合わせて、千鳥がメンバー加入。顔も芸風もかぶらない絶妙のキャスティングで、『ピカル』独特のキャラコントにバリエーションが増えた。さらに、ここにきて渡辺直美演じる白鳥美麗がブレイク。コントはもちろん、CDデビューシングルがオリコン10位を記録したほか、その強烈なキャラで他番組にも出演を重ねている。

大きな変化こそ見られないが、ゆかりのない場所に極秘潜入する『カメレオン』が、月9ドラマ撮影現場になるなど、各コーナーがパワーアップ。ロケ企画などを加えて、メンバー自身の人気を上げる試みもバッチリだ。番宣の多さは気になるが、視聴率もしばらくは2桁以上をキープしそうで安泰か。

【変化の大きさ☆ 視聴率☆☆☆ 継続性☆☆☆】

『知りたがり!』フジテレビ系 月~金曜9時55分→14時

番組のコンセプトは、“知りたがりすと”と名づけられたゲストが、専門家に素朴な疑問をぶつけるという『池上彰の学べるニュース』と同じスタイルで変わりなし。

ただ、司会に元NHKの住吉美紀、レギュラーにロンブー・田村淳、知りたがりすとに六角精児、ダイヤモンド☆ユカイ、山里亮太、冨永愛らの個性派を加えるなど、明らかにバラエティ色が強くなった。

もうひとつの変化は、住吉がヨガをしながら天気予報を紹介する『ヨガ天』、多局の番組でも迷わず扱いマニアックに分析する『テレビまぁさぐり』の新コーナー。住吉のヨガウェアや開脚姿はビックリだが、『まぁさぐり』の進行役・高橋真麻が登場するときのBGM「お嬢様じゃない。私ただのミーハー」が妙におもしろい。

そもそも「打倒ミヤネ屋」のためにリニューアルされた同番組。文句なしにパワーアップしているが、斬新すぎて受け入れられるまでにもう少し時間がかかりそう。

【変化の大きさ☆☆☆ 視聴率☆ 継続性☆☆☆】

『ガチガセ』日本テレビ系 木曜19時→金曜19時

『なるほど! ハイスクール』から続く、AKB48がレギュラー出演するバラエティ番組。整形、オネエ、子役の演技、芸能人の年収、20代社長などのテーマで、ガチ(本物)か、ガセ(偽物)かを見極めていく。気づく人も多いだろうが、内容は『関ジャニの仕分け∞』とほとんど一緒。AKBらのレギュラーチームと、ゲストチームの対戦というクイズ形式も同じだ。

それだけにインパクトのある罰ゲームが欲しいところだが、現在は誤答しても微量の炭酸ガスを受けるだけ。かつて、AKBの主要メンバーは粉やドロの中に飛び込んでいたが、CM出演も増えた今ではそこまでやらない。司会に起用された上地雄輔や、ゲストチームに入る劇団ひとりと平成ノブシコブシ・吉村崇の立ち位置も中途半端。いずれ再リニューアルか、それとも打ち切りか。

【変化の大きさ☆ 視聴率☆ 継続性☆】

『イカさまタコさま』TBS系 火曜23時50分→水曜19時

昨年秋冬に放送されていた番組が昇格&復活。深夜時代に好評だった「イカタコどっち」、再生速度を変えて別人の声に変える「TSUTAYAイカタコ店」に、女優のウソ演技を見抜く「ストック3」、マスクをかぶった人物の中から本物を当てる「マスクマン5」の新コーナーを加えて充実させた。

扱われるネタは、職場や学校で話したくなる身近なものから、世界の仰天スクープまで多種多彩。笑いはもちろん、ためになる情報もあるため、主婦や子どもウケがよく、TBS得意のアニメーションを使った演出も好評だ。未使用のクイズやネタが相当あるようで、人気番組になる可能性を秘めている。

【変化の大きさ☆☆ 視聴率☆☆ 継続性☆☆】

『お願い! ランキングGOLD presents 眠れる才能テスト』テレ朝系 土曜19時

これまでアニメ、声優、グルメ、モノマネなど、毎回ランダムなテーマを扱ってきたが、4月から『眠れる才能テスト』に一本化。1月に放送された特番のレギュラー化で、3択クイズで自分の才能や適職をはかる、という内容になった。

作家、刑事、デザイナー、料理研究家、アーティストなど、さまざまな職業に関するクイズが出題され、土曜の夜らしくファミリー視聴には最適。イケメンシェフ・川越達也が料理の問題で「才能なし」の答えを選んでしまうなど、ゲストのリアクションも見どころのひとつだ。

ただ、『志村どうぶつ園』『リアルスコープZ』らの裏番組が強力であり、14日の初回2時間30分放送が1ケタ視聴率と、早くも大苦戦。そもそも、同局の『芸能人格付けチェック』とほとんど同じ内容だけに、おもしろくて当然なのだが、切り替えの早い枠だけに心配だ。

【変化の大きさ☆☆☆ 視聴率☆ 継続性☆】


どの番組も、局の期待を一身に背負っての昇格&リニューアルだが、傾向としてはクイズ形式のバラエティが多かった。これはターゲットが広く、視聴率を稼ぎやすいためだろうが、一歩まちがうと全滅の危機も……。

ただ、『ZIP!』や『ヒルナンデス』のように1年かけてファンと視聴率を勝ち取った番組が現れただけに、他番組とコラボしながら、しぶとく生き残っていくかもしれない。

きむら・たかし

コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ評論家、タレントインタビュアー。1日のテレビ視聴は20時間(同時視聴含む)を超え、ドラマも毎クール全作品をチェックする重度のウォッチャー。雑誌やウェブにコラムを提供するほか、取材歴1000人超のタレント専門インタビュアーでもある。著書は『トップ・インタビュアーの聴き技84』など
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