シンチレーター式の線量計、ホリバの「Radi」と並べて室内で計測。Radiの値は0.041μSv、エアカウンターの値は0.05μSvで点滅し、それ以下で計測不能であることが示された

ただし、欠点は感度がやや低いことだ。特に、線量の低い場所では感度が弱く、エアカウンターSの取扱説明書にも、測定可能範囲は「0.05~9.99μSv/h」となっている。つまり、0.05μSvを下回る値は計測が不可能で、実際に東京都内の室内で測った場合は、度々計測不能を表す値が点滅した状態となり、感度が高いシンチレーションカウンターを横に並べて計測してみると、やはりほとんどが0.05μSv以下となり、比較的正確であることが実感できた。また、屋外で測定したデータを自治体や研究機関などが公表している値と比較してみても、メーカーが明記している測定誤差±20%の範囲内に概ね収まっているという印象を受けた。

その他実際に計測を続けて感じた注意すべきポイントは、瞬間的に多くの放射線を検出した場合、以降もしばらく高い値が平均値として表示されてしまう場合が多いことだ。これは同製品に限った話ではないが、計測値に大きな揺れがあった場合は、その後も高い値を表示し続けてしまう場合もあるため、一度リセットをして再測定をしたり、繰り返し測定する必要がある。測定する際には、放射線源は常に移動しているということを念頭に置いておきたい。

"数値"として表示されることで、漠然とした不安感を払拭

地上1mでの測定が必要なため、小さな子どもが自身で測定するのは難しいが、興味津々の様子

また、同製品は地面から1m離れた場所の空間線量を測定するというのが条件。物体の表面汚染や液体や食品の放射線量を測ることを目的に開発されたものではく、使用方法と目的を理解して、正しい条件で測定すべきことも熟知して利用したい。

放射線の測定に関しては、専門家が測っても誤差があるといわれており、温度計のような感覚で素人が正確に測ることは難しい。しかし、実際に測定してみた感想は、目にも見えない、臭いもしない、味もしないという放射能が、目に見える数値として手元で確認・実感できるというのは安心につながる。

また、「付近に高線量のホットスポットが見つかった」といったネット上の不確かな情報に関しても、すぐに自分自身で測定してその真偽を確かめることができ、情報に振り回されないというメリットもある。

国民生活センターが勧告した通り、不適正な価格や精度で販売されているものには注意が必要だが、国内メーカーが発売しているという点でも信頼性が担保される。エステーによると、「国の認定を受けた第三者機関によって、国家標準に基づいた校正を実施し、承認を受けている」とのこと。今どき高級な体温計なら3,000円~4,000円程度で販売されていることを考えれば、現時点での実売価格を調べてみると5,000円程度となっており、消費者としても納得できる。また、幼い子を持つ親の1人としても、この程度の価格で日常の不安が払拭できるのなら買って損はないと感じた。

※撮影の都合上、線量計を地面に並べているが、測定時は地上1mで測定している。