J-WAVEで朝の帯番組『J-WAVE TOKYO MORNING RADIO』のナビゲーターを務める別所哲也さん。朝型生活を自ら実践し、ラジオを通じて早起きの楽しみを伝えている。前回は、朝時間の有効活用法について伺ったが今回は、ハリウッド映画への出演経験も持つ別所さんに英語の勉強方法についても話を聞いた。

とっさの対応力をつける「朝時間の有効活用法」とは? - 別所哲也インタビュー前編はこちらをチェック!!

対人恐怖症から一転、英語を話せるようになったきっかけは「開き直り」だった

──別所さんといえば、英語が堪能ということでも有名ですね

別所 : いえいえ、とんでもない。僕なんてまだまだ(苦笑)。ただ、英語には子どものころから強い関心を持っていました。母親宛にサンフランシスコ在住の知人からエアメールが届いたりして、「アメリカってどんなところなんだろう」「なんかエアメールってカッコいい響きだな」なんて、子ども心にアメリカや英語への憧れを抱いたり。それから、叔父が持っていた英検一級の学習テープを、まるで素敵な呪文を聞くようにして楽しんでましたね。当時は小学6年生くらいですから、意味なんてサッパリわかりませんでしたけど。その後は、中高でいわゆる受験勉強として英語に触れつつ、"ウォークマン世代"なので好きな洋楽……たとえばビリー・ジョエル、エルトン・ジョン、クイーン、シカゴ、エアサプライあたりを夢中になって聞きながら、歌詞を聴き取ったりして英語に親しんでいました。

──そして、大学でESS(英語劇サークル)に所属します

別所 : それが大きな転機だったかもしれません。英語でお芝居を演じたりするようになって、英語で何かを表現したり、コミュニケートしたりするのが、がぜん面白くなってきたんです。

──初めての海外、初めての渡米がハリウッド映画への出演だったとか

別所 : はい、『クライシス2050』という日米合作映画のオーディションに合格して、1年ほどアメリカで生活しました。それが初めての海外体験です。自分では英語力にそこそこ自信があったのですが、最初はやはり苦労しましたね。実は当初の2カ月間くらい、まるで耳にロックがかかってしまったかのように、英語がまったく入ってこなくなってしまったんです。あれほど英語を勉強したのに、どうして上手く英語でコミュニケーションが取れないんだろう、と。正直、英語が苦痛ですらあった。喋りたくない、人と会いたくない……対人恐怖症みたいな状態でした。たとえば、誰かと会話をして別れた直後、その部屋から笑い声が聞こえたりしたら、自分のことを笑っているんじゃないかと勘ぐったり。言葉が通じないつらさに苛まれて、本当にキツイ時期でした。

しばらくそういう時期を過ごして、あるとき開き直ったんです。「英語は僕にとって母国語ではないのだから、わからなくて当然なんだ」と。わからないことは「ごめん、もう1回言ってくれる?」と聞き返したり、「これがアナタの求めていた答えですか?」と問いかけたりすればいいんだ。そう考えるようになったら、急に楽になったんですよね。

僕ら日本人って完璧主義というか、形式にこだわりすぎてしまうきらいがある。完璧な受け答えをしてようと構えすぎたり、完璧に理解できないのが恥ずかしいから、とりあえず相づちを打ってお茶を濁してしまおう、みたいな思考になりがちなんです。そこで大切になるのが、自分に正直になること。ヘンに格好をつけたりせず、わからないことには「わからない」と言えばいいんです。日本人同士で会話をしているときでも、ちょっと他のことを考えていたりして「え、何の話だっけ?」みたいなことはいくらでもありますよね。これは英語でも同じ。「ごめん、聞いてなかった。もう1回言ってよ」なんてやり取り、アメリカ人だってしょっちゅうしてますから(笑)。そういう光景を見て、僕も楽になったところがあります。

要はコミュニケーションって、臆さないで自己開示する正直さが大事なんだと思うんです。そして、通じなかったとき、理解できなかったときでもドギマギしないメンタリティを持つこと。さらにそこで「Where am I?」なんて、その場の会話に乗り切れなかった自分、一度聞くだけでは理解できなかった自分をジョークにしてしまうくらいの開き直りが持てたら最高ですよね。……つづきを読む