映画『攻殻機動隊S.A.C. SOLID STATE SOCIETY 3D』の観客動員数10万人突破記念として、「神山健治監督 生コメンタリー上映会」が新宿バルト9にて、2011年6月12日(日)に開催された。

「神山健治監督 生コメンタリー上映会」当日の模様はニコニコ生放送でも中継され、0時30分スタートという時間帯にも関わらず視聴者数は約13万人、総コメント数は20万件近くにも上ったとされている。

コメンタリーでは映画に関するトリビア情報などが語られ、また上映後のトークでは観客からの質問に答える形で、次回作への思いや制作時のエピソードなどディープな裏話がたっぷりと語られた。

神山健治監督

新宿バルト9にて『攻殻機動隊S.A.C. SOLID STATE SOCIETY 3D』を視聴しながら、制作の裏話などが明かされた

まず本編の上映がスタートすると、神山監督からは攻殻機動隊に関する様々なトリビアが次々と飛び出した。たとえば登場キャラクターの一人、茅葺総理が女性である理由については、「彼女のモデルはイギリスのサッチャーなんです。サッチャーとは『屋根屋』という意味。屋根といえば茅葺なので、茅葺という名前はサッチャーからとったんですよ」とネーミングの由来を明かして視聴者をうならせ、さらに作中に登場する団地については、「細田守監督がデジモンで使った光が丘団地をモデルにしているんです」など、様々な裏話で集まった観客と視聴者を喜ばせていた。

大いに盛り上がった本編上映後は、神山健治監督とプロデューサー・石井朋彦氏によるトークと質疑応答が行われた。なお、質問は会場に集まった観客のほか、twitterでも受け付け、熱心なファンならではのディープな問いが途切れることなく寄せられていた。

その質疑応答では、いきなり「次回作の構想について」という質問が飛び出し、これに神山監督は「大反響もいただきましたし、今僕が作っている作品が終わったら何とかできればいいなと思っています。歯切れが悪くてすみません」と言葉を濁しつつも次回作への思いを述べた。

質問に答える神山監督

続いて「監督自身に一番シンクロするキャラクターは?」という質問には、「作りながら変わるのですが、ファーストシーズンでは少佐(草薙素子)になりきれず、荒巻の視点で脚本を書いていました」と、意外な苦労があったことを明かし、また「何歳くらいでアニメ監督になろうと思ったのか?」という監督自身についての質問には、「14歳のとき『スター・ウォーズ』を見てなろうと思いました。その後、『機動戦士ガンダム』に出会ったことで、アニメならそういうスケールの(大きな)作品を書けるんじゃないかと思いました」と自らのルーツを語った。

このほかにも「あまりキャラがまばたきをしていないイメージがあるが、その理由は?」「絵コンテのときはどんな絵が浮かんでいるのか?」「脳研究がかなり進んできたが、これから新作を作るなら新しい電脳の表現はどうなるのか?」といったファンならではのディープな質問に神山監督は一つ一つ丁寧に答えていき、視聴者コメントでは「どれもものすごく良い質問だなw」「ファンもすごいな……」「ホントに愛されてるなー」など、改めて『攻殻機動隊』というコンテンツの持つパワーに感心する声が上がっていた。

トークの進行役を務めたプロデューサー・石井朋彦氏

個々の質問に丁寧に答えてくれた神山監督にファンも大満足の上映会となった

最後に神山監督は本作について、「一度公開されてDVDも発売されている作品で、こんなにロングランをしていただけることは作り手として喜ばしいこと」と感謝の気持ちを述べ、またニコ生視聴者が10万人を突破したことを聞いて、「観客動員数が10万人なのに!? ネットは広大ですね(笑)」と、作中の名台詞を交えて茶目っ気たっぷりにコメントしていた。