花粉症シーズンが到来。花粉症情報サイト「花粉なう」で紹介されている、1月1日からの最高気温を累積した「花粉温度」は、花粉飛散時期を示す目安となる480℃を越し、花粉本格飛散開始に入っていることを示している。花粉症患者はすでに医療機関にかかり、治療薬を飲み始めている時期にあたるが、今飲んでいる薬で症状は抑えられているだろうか? MSDが花粉症に悩む1,030人を対象に行った実態調査によると、花粉症の治療を行っても、約7割が症状を抑えきれていないと感じているという。

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そうした中、花粉症の症状に対する薬の効果は薬によって異なるため、それらの効果の違いを症状や重傷度によって上手く組み合わせる「併用療法」が、例年の10倍の花粉が飛ぶとも言われる今年の花粉シーズンを乗り切る一つの方法として注目されている。

福井大学医学部 感覚運動医学講座 耳鼻咽喉科・頭頸部外科学の藤枝重治教授は「花粉症の基本的な治療薬は、鼻水やくしゃみに有効な抗ヒスタミン薬、さらに鼻づまりに効果がある抗ロイコトリエン薬、3つの症状に効果のある鼻噴霧用ステロイド薬の3つに大別されます。のみ薬と点鼻薬を組み合わせてしっかりと症状を抑えたい患者さんには、抗ヒスタミン薬と鼻噴霧用ステロイド薬の併用、のみ薬の組み合わせで症状を幅広く抑えたい患者さんには抗ヒスタミン薬と抗ロイコトリエン薬の併用など、症状と重症度に応じて花粉症治療薬を組み合わせて治療を行う併用療法が効果的です。特に今年のように、花粉が大量飛散すると予測されている場合、例年1剤では満足の行く効果を得られていなければ、このような組み合わせによる治療を行うことが大切です」と説明する。

また、「鼻アレルギー診療ガイドライン」によると、軽症では抗ヒスタミン薬、中等症の鼻水・くしゃみ型では抗ヒスタミン薬と鼻噴霧用ステロイド薬の併用、中等症の鼻づまり型ではさらに抗ロイコトリエン薬を加えた3剤を用いるなどの指示がなされている。症状や重症度に合わせてのみ薬と点鼻薬で症状をしっかり抑えたり、のみ薬を組み合わせて幅広く症状を抑えたりと、上手に組み合わせて服用すると効果があるとのこと。

併用療法

とはいえ、なかなか医者に行く時間がない人はOTC治療薬のみを使っている人も多いのでは? しかし、ドラッグストアで購入できる薬は、ある程度の期間処方薬として処方されていたもので安全性が確認されているものがOTCとして承認されるため、OTC薬は型が古いタイプのものが多いという。また、日本医科大学耳鼻咽喉科 大久保公裕教授は「薬局にはたくさんの花粉症薬が売られていますが、市販薬を使うのは、本当に忙しくて医療機関へ行けないときだけにした方が無難です。市販薬には複数の成分が混ざっているので、さまざまな副作用が出る危険性があります。たとえば、医師が処方するのは眠くなりにくい第二世代の抗ヒスタミン薬ですが、市販薬は眠くなる成分が入っている古いタイプのものが多いのです」と警鐘を鳴らす。

すでに医療機関にかかり早い時期から治療薬をのみはじめている人は、そろそろ2回目の受診をする時期にあたる。症状が軽くならないと悩んでいる人は、まずは医師に相談し、併用療法について聞いてみるのも手だ。