寒い日が続くが、暦を見れば2月。「またあの辛い季節がやってくるのか」と憂うつに感じる人は結構多いのでは。そう、花粉シーズンの到来。今年は「昨年の10倍」なんて予測もあるから大変だ。花粉の大飛散に"迎え撃つ"には早めの対策が肝心。今年の花粉飛散の傾向と花粉症対策をチェックしておこう。

今年は花粉大飛散、昨年の10倍の地域も

今年の花粉、昨年に比べるととにかく多いらしい。環境省の予測によると、今年の飛散量は、「例年に比べ非常に少なかった」という昨年に比べ、例えば東海地方や近畿地方の一部ではなんと10倍以上。東北地方、関東地方、西日本でも、昨年の2倍から6倍になる地域が多いと予測している。ちなみに例年との比較では、東北から近畿地方については「例年より多い」、中国・四国・九州では「例年並みか例年よりやや少ない」となっている。

花粉が多い理由だが、花粉は前年の6~8月の気象条件に大きく影響を受けるそうだ。そういえば昨年の夏は猛暑。日照時間が長く、気温が高くなったことで花粉量が増えたという。

花粉シーズンのはじまりとピークも頭に入れておこう。環境省の「2011年 スギ花粉の飛散開始日予測」は下図の通り。2月上旬に九州南部で花粉が飛び始め、関東、東海、四国、九州では2月中旬というところが多く、北海道では3月下旬といった感じだ。気になるピークの時期だが、関東以西では3月上旬から中旬、東北では4月上旬とのこと。特に今年花粉総飛散量が多くなると予測されている関東、北陸、東海、近畿地方では、1カ月を超える長い期間にわたって飛散量の多い日が続く可能性があるというから、"覚悟"が必要となりそうだ。

環境省「2011年 スギ花粉の飛散開始日予測」

「花粉症の自覚症状あり」43.7%、みんながやっている対策は?

さて、毎年多くの人を苦しめる花粉症だが、いったいどれくらいの人に自覚症状があるのだろう。アサヒ飲料が1月に発表した「花粉症意識・対策実態調査」の結果によると、花粉症の自覚症状がある人は43.7%、日本の人口にあてはめて考えると全国で約5,500万人が花粉症という計算になる。また、約27.3%が5年以内に発症。毎年約423万人が"花粉症デビュー"している可能性があるという。

もはや「国民病」ともいわれる花粉症だが、みんなどんな対策をしているのだろう。同調査結果をみると、もっとも多いのが「マスクの着用」(65.5%)。次いで「市販薬の使用」(60.1%)、「病院での処方薬を使用」(46.5%)と続いた。

興味深いのは、対策法を試す順番にはある程度法則性が見られたということ。次の5段階のステージに分けられ、自覚症状が重くなるについてそのレベルも上がる傾向があったそうだ。

アサヒ飲料調べ

現在行っている「花粉症対策」 - アサヒ飲料調べ

2011年の花粉症対策はどうする?

では、今年はどんな花粉症対策を実践したらいいのだろう。まずは、花粉症治療のスーパードクターともいわれる日本医科大学耳鼻咽喉科の大久保公裕教授が、厚生労働省のホームページでセルフケアについてアドバイスしているので紹介しよう。

  • 外出時にマスク・眼鏡をして、原因の花粉を少しでも体の中に入れないようにする
  • 花粉情報に注意し、花粉飛散が多いときには無駄な外出は避ける
  • 家にいる場合でも、花粉飛散が多いときには窓の開け閉めに注意をする
  • 外出する場合にはけばけばした花粉のつきやすいコートを着ることは避ける
  • 外出から帰ってきたらすぐに顔を洗い、うがいをする
  • 鼻粘膜の状態を良くするように、悪化の因子であるストレス、睡眠不足、飲み過ぎなどを抑える

一方、アサヒ飲料が提唱するのは"朝快適法"。花粉症患者にとって最もつらいシーンが「朝起きてすぐ」であることに着目。「朝起きてから学校・職場に到着するまでの朝時間が、その日の快適生活を送るための対策をとるには重要な時間帯」とし、朝の花粉症対策として「マスク・目薬などの『外からの』対処法+食品・飲料系の『中からの』対処法」を提案している。

病院での治療効果を考えている人もいるだろうが、気になるのは、その治療効果だ。MSDの最近の調査では「花粉症をしても生活満足度が普段より劣っている」と回答した人は約9割、「さらなる症状改善のために複数の薬を利用したい」という人は8割以上に上ったという。

この結果について福井大学医学部の藤枝重治教授は「特に今年のように、花粉が大量飛散すると予測されている場合、例年1剤では満足のいく効果を得られていなければ、最初から組み合わせによる治療を行うことが大切です。症状や重症度に合わせてのみ薬と点鼻薬で症状をしっかり抑えたり、のみ薬を組み合わせて幅広く症状を抑えたりと、上手に組み合わせて服用すると効果がありますので、効果を感じることのできる治療法について、ぜひ医師に早めに相談し、適切な治療を受けられることをお勧めします」とコメントしている。参考にしてみてはいかがだろう。

役立つ花粉症情報提供サービス

ウェザーニュース『花粉Ch.』

花粉データと最新の気象データをもとにした花粉情報を1時間ごとに配信。携帯サイト(http://wni.jp/)もある

厚生労働省 花粉対策

日本医科大学耳鼻咽喉科の大久保公裕教授が花粉症について詳しく記述している。花粉症についてのQ&Aも

協和発酵キリン『花粉症*ナビ』

花粉症のチェックから花粉週間予報まで花粉症についての情報が満載

花粉症ガイドブック(ダウンロード可能)日本アレルギー協会

花粉症になりやすいタイプや花粉症患者増加の理由も解説した分かりやすいガイドブック

環境省花粉観測システム(愛称:はなこさん)

各地域の1時間ごとの花粉飛散数を分布図で表示。風向や風速も確認できる