前回は、東海道新幹線N700系電車で提供されている列車内インターネットをレポートした。通信方式は列車無線を使ったものであり、まったく途切れないのが特徴だった。今回レポートする成田エクスプレスの新型電車E259系の列車内インターネットは、通信方式にUQコミュニケーションズのUQ WiMAXを利用している。通信方式の違いによる使い心地はどれほど出てくるのか見ていこう。

モバイルルータ搭載電車

新型の成田エクスプレスに投入されたE259系特急電車は、各車両の屋根にWiMAXのアンテナを搭載しており、車内にはブリッジルータを備える。最近は3G回線やWiMAXを無線LANに変換するモバイルルータが人気だが、E259系にはこれが搭載されていると考えればいい。この無線LANの通信事業者は、UQ Wi-FiおよびBBモバイルポイントだ。MzoneやHOTSPOTなどのNTT系のサービスは非対応なので注意しよう。なお、携帯電話を使えばUQ Wi-Fiの契約はその場で行える。

253系からE259系にすっかり置き換わった成田エクスプレスは、各車両にWiMAXアンテナを備える

座席には成田エクスプレスのパンフレットが置かれており、インターネット接続のマニュアルも掲載されている

インターネットへの接続方法は、まずはUQ Wi-Fiのアクセスポイントに接続し(WEPキーは契約時に発行)、Webブラウザを起動して任意のWebサイトにアクセスするとログイン画面が出てくる。UQユーザはこのままログインし、BBモバイルポイントユーザは「BBモバイルポイント ~ ログイン画面はこちら」をクリックしてログインすることになる。

UQ Wi-Fiの契約をすると割り当てられるWEPキーなどを登録して、車内のアクセスポイントに接続する。ブラウザを起動するとログイン画面が出る

パソコン用のコンセントが全席のひじ掛けに用意されている

あかり区間でも所々圏外

東海道新幹線と違い、成田エクスプレスのサービスはUQコミュニケーションズが沿線を優先的にWiMAX基地局を整備することで実現している。そのため、トンネルや地下区間は基地局が整備できないので圏外となる。また、江戸川周辺、東船橋駅近辺など地上区間であっても通信できなくなるところがあった。Webやメールは問題ないレベルだが、ストリーミングなどは再接続が必要だ。また、東船橋ではログイン状態も維持できなくなった。

ところが、さすがはバックボーンがUQ WiMAXだけに通信速度は高速だった。走行中でもピーク時9.6Mbps、平均1.6Mbpsとかなり高速だ。3Gデータ通信でも、静止していればこのくらいの速度は出るが、100km/h程度の高速移動中ではせいぜい500kbps程度になってしまう。高速移動を考慮したWiMAXの強みが出ているわけだ。結局、新宿から成田空港第2ビルまでの1時間20分間の累計受信データ量は780MBにもなった。

iPhoneで速度を計測しながら通信速度を計測。115km/hでもピーク時2.4Mbps出ているところ

品川から成田空港第2ビル駅までの通信速度変化をグラフ化した。測定は1分ごとで、青色グラフが瞬間最大速度、赤色グラフは平均速度だ。最大速度はバラバラだが、平均すると1.6Mbps(200KB/s)程度と移動中にしては高速だ ※拡大画像はこちら

累積の受信データ量は、最終的に787MBに達した。新幹線は2時間30分で226MBだったのでその速さが実感できる ※拡大画像はこちら

ところで、トンネル区間は通信できないとJR東日本のWebサイトにも明記されているのだが、東京 - 新日本橋 - 馬喰町の地下区間は通信することができた。どうやらホーム上の基地局の電波が拾えたようだ。もっとも馬喰町を通過して地上に出るまでは通信できないので、この区間は使えないものとあきらめたほうがストレスはない。なお、WiMAXが圏外の区間ではログインも行えないので、東京駅から乗車する場合は地上区間に出るまで待つか、発車する前にログインを済ませるようにしよう。