ゴンジリ峠。ここまでくれば山頂はもうすぐ

その後は完全に沢から離れたルートとなる。「行き止まり? 」と思うくらいに思いっきり道をふさぐようにそびえ立つ巨岩・岩茸石を眺めつつ、ゴンジリ峠に向かう。峠からは少し眺望がきいていて、周囲の山々を望むことができる。ここで少し休んだ後は一気に山頂へ。心臓破りの丸太階段でいわゆる「シャリバテ」状態になるが、「もう少しでごはんだ」と奮い立たせ、10分間ほど無言のまま(省エネモード)山頂に到着した。

標高969mの棒ノ折山山頂

下ごしらえが重要な山クッキング

火が通りにくい人参やジャガイモもスライスしておけば、短時間での調理が可能。右にあるのは、私の山ごはんづくりにはもはや欠かせないZIPPOのガス式ライター「Mini MPL」

さて、ここからはクッキングタイム。この日の献立は「ふわとろチーズのイエローカレー」。豚の薄切り肉と、火が通りやすいよう薄くスライスしてきたジャガイモ、人参、玉ネギを水、イエローカレーペーストとココナッツミルク、ナンプラー、こぶみかんの葉を加えて煮込むだけの簡単レシピ。10分ほどで完成する。ごはんは軽量のアルファ米を使い、スクランブルエッグとスライスチーズをトッピングすれば完成! 半熟に仕上げればトロトロとしておいしさアップ。同行者にも振る舞い、とても好評だった。山に登るたび思うが、温かい食事と言うのは本当にありがたいものだ。

先に湯を沸かしてココナッツミルクパウダーに入れて溶かしておく。これを野菜や肉、水を入れた鍋に注いで煮込む

フライパンに卵を入れ、半熟のスクランブルエッグに。味付けには塩・胡椒を

完成した「ふわとろチーズのイエローカレー」。半熟玉子とカレーの辛味がベストマッチ! 山ごはんとは思えないほどのクオリティ

ちなみに。お役立ちアイテムのcrocs。家を出てから帰るまでずっとトレッキングシューズをはいていると足が疲れるので、下山後crocsに履き替えるようにしている。特に夏場は通気性が良いので快適だ。軽量で持ち運びやすいのもうれしい

食後、ホットココアや紅茶を飲んで下り始める。ゴンジリ峠、岩茸石と戻り、ここからは登りとは違うルートに進む。沢沿いだった登りとは異なり、下りは尾根道。所々薄暗く滑りやすい箇所もあるが、注意して下ればそれほど危険ではない。他の山でも時々見かけるのだが、尾根の右側と左側では植生が全く異なることがある。下りで選んだ滝ノ平尾根ルートも同様で、東側が針葉樹、西側が落葉樹で興味深い。下り進めると、丸太階段の登場。しかし、頻繁に崩壊箇所があり、見た目大丈夫そうなところも「崩れないかな? 」と結構怖い。それでも山頂から2時間半ほどで下山。

変化ある登りのコースに比べるとやや単調な下りではあったが、それでも個人的には今まで登った中で一番楽しいコースとなった。冬季(凍結時)や大雨の後の沢沿いコースは危険なので見合わせて欲しいが、暖かくなってきたらぜひ棒ノ折山のことを思い出してほしい。きっと充実した楽しい山歩きになることだろう。