10回目の今年で最後となる漫才日本一決定戦「M-1グランプリ2010」決勝が26日、東京・テレビ朝日のスタジオで行われ、9年連続出場の笑い飯(西田幸治・哲夫)が悲願の優勝を果たした。

「M-1グランプリ2010」で優勝を果たした笑い飯(左から西田幸治、哲夫) 拡大画像を見る

ファーストラウンドの6番目に登場した笑い飯は、上半身がサンタクロース、下半身がトナカイの「サンタウロス」なる怪キャラを互いに演じてボケ合う進化したWボケを見せ、668点の高得点でトップに躍り出た。そのまま1位をキープし、上位3組が優勝をかけて争う最終決戦に進出を決めたが、敗者復活戦から決勝のステージに帰ってきた昨年の王者・パンクブーブーが奇しくも笑い飯と同点の668点をもぎ取っていきなり1位に浮上。さらに、シュールな世界観と独特の間で審査員と客席に新鮮な衝撃を与えた決勝初出場のスリムクラブが644点のハイスコアをマークしてベスト3に加わり、最終決戦は笑い飯と前回のチャンピオン、未知数のダークホースが激突する波乱の展開となった。

そして運命の結果発表。カウス、宮迫と立て続けにスリムクラブに票が入り、会場にどよめきが起こったが、続く渡辺、大竹、南原、松本が笑い飯に、紳助がスリムクラブに投票し、4対3の1票差で"無冠の帝王"と呼ばれた笑い飯が優勝を勝ちとった。思わず「やった!」とバンザイをして体いっぱいに喜びを表した西田と哲夫の目にはうっすらと涙も。 哲夫は「2本目に“チンポジ”しなくてよかったです」と昨年、惜しくも優勝を逃した最終決戦の“下ネタ”を持ち出して笑いを誘い、西田は「やっとです! やっと獲れました!」と9回目にしてやっと手にした栄冠に感無量の様子だった。

大会後に行われた会見では、哲夫が「長いこと国民のみなさまにはお待たせをいたしました。2002年から決勝に行かせていただいてるんですけど、そのときに言った言葉を拝借させていただいて『ごっさうれしいです!』」と優勝の喜びを。西田は「M-1があったので漫才をがんばってこられた。最後の年はどうしても優勝したかったので、本当にうれしいです。スリムクラブが怖くて怖くてヒヤヒヤしましたけど(笑)」と思わぬ強敵の出現した決勝を振り返り、「毎年『なんで優勝しないねん?』と言う人もいましたが、『じゃあ、やってみぃ!』とずっと思ってたんです。今年も危なかったですよスリムクラブのせいで(笑)。毎年、ああいう伏兵が出てくるし、どんだけ優勝が難しいと思ってんねん?と。でも、やっと優勝しましたんで、気兼ねなくおめでとうと言ってください(笑)」と9年間の苦悩?をぶっちゃけて笑わせた。

史上最多の4,835組がエントリーした最後の決勝には、12日に両国国技館で行われた準決勝を勝ち上がったカナリア、ジャルジャル、スリムクラブ、銀シャリ、ナイツ、笑い飯、ハライチ、ピース(以上、ネタ順)の8組が出場。審査員は大会委員長の島田紳助をはじめ、松本人志、渡辺正行、南原清隆、中田カウス、さらに今年初めて審査に加わった宮迫博之、大竹一樹が務めた

そんな2人を見守ってきた大会委員長の紳助は「僕は最後にスリムクラブに入れましたが、実は笑い飯に優勝して欲しいと思ってました。審査員全員が納得した優勝。心の底からおめでとうございます」と祝福。「本来なら、2002年と2009年と今年と3回優勝してないといかんほど実力があるし、まだまだ進化するコンビ」と絶賛し、「これからもがんばってください。まぁ、劇的に売れることはないと思いますが(笑)」と紳助らしいジャブを交えてエールを送っていた。

2002年のM-1決勝で一気にその名を世に知らしめ、9年連続決勝出場の快挙を成し遂げた"ミスターM-1"こと笑い飯。哲夫は「M-1のことを一番わかってるのは我々なので、NGK(なんばグランド花月)でM-1のような大会を笑い飯主催でやりたい。まずはイベントとしてやって、ゆくゆくはテレビ中継もしてもらえたらいいなと思ってます」、西田は「M-1に初めて出たときが3回目ぐらいのテレビ出演。それ以来、M-1に優勝するためにがんばってきた。M-1がなかったら今の僕らははないと思ってるので、いつか復活させて恩返ししたいです」と今年で終了するM-1への深い思い入れを語っていた。