かねてより電子書籍ビジネスへの参入を表明していたシャープは27日、新ブランド『GALAPAGOS』(ガラパゴス)として事業を展開することを発表した。12月より電子書籍の販売サービスを開始、同時に2種類のタブレット端末を投入する。

12月に発売が予定されるタブレット端末、愛称は「GALAPAGOS」。写真左からディスプレイサイズが5.5型「モバイルタイプ」(レッド系/ シルバー系)、10.8型「ホームタイプ」(ブラック系)。価格は未定

シャープは新ブランド「GALAPAGOS」のもとクラウドメディア事業として、タブレット端末などを軸にしたネットワークサービスを提供していく。今年12月より、その第1弾となる端末上で新聞や雑誌、書籍を手軽に購読できる電子ブックストアサービスを開始。同時に愛称を"GALAPAGOS"とするタブレット端末が投入される。ディスプレイサイズが5.5型(1,024×600ドット)の「モバイルタイプ」、10.8型(1,366×800ドット)の「ホームタイプ」の2種類。いずれも通信機能として無線LAN(IEEE802.11b/g)をサポートしている。価格は未定。

なお、アルファベットで表記するGALAPAGOSという名称について、同社オンリーワン商品・デザイン本部長 岡田圭子氏は、否定的な意味で捉えるのではなく、「変化に対応していく進化の象徴」と説明。同ブランドでは、商品・サービスの進化、自社だけでなくアライアンスによるビジネスモデルの進化、世界各地のライフスタイルに適合する環境適合力の進化を目指していくとした。

GALAPAGOSの操作イメージ。電子書籍の購入、本棚での管理などが手軽に行なえる

電子ブックストアサービスは12月の開始当初、新聞や雑誌、書籍など約3万冊を用意。ユーザーは端末上から手軽にコンテンツを購入してオフライン環境でも読むことができるほか、読みたい媒体を自動定期配信サービスで購読したり、コンシェルジュ機能によるレコメンドから書籍の試読、購入へつなげる機能なども利用できるようになる。コンテンツは新聞社や雑誌社から提供を受ける。電子書籍フォーマットには次世代XMDFを採用したことで、複雑な誌面レイアウトや映像など動的コンテンツの再現が可能になっている。なお、端末側ではHTML、PDF、ePUBもサポートされる。

新聞社や出版社からコンテンツが提供される

専用タブレット端末は、OSにAndroidを採用した。ただし、当面は電子ブックストアやWebブラウザなどシャープ製アプリのみの提供となり、アプリマーケットには対応しない。外部開発者への開放などは未定だが、同社はサービスと連携するアプリを優先的に提供するとしている。

シャープは今後、クラウドメディア事業を電子書籍の販売以外にも広げていく。2011年春には映像コンテンツの配信を予定しているほか、音楽、ゲーム、eコマース、電子教科書などを想定。新サービスにはソフトウェアアップデートで対応する。対応端末でも液晶テレビ「AQUOS」やスマートフォンからの利用を可能にする予定だ。また、タブレット端末の3G通信対応についても「キャリアと相談しながら」(執行役員 情報通信事業統轄 大畠昌巳氏)と実現の可能性を示唆した。海外展開については、7月の戦略事業説明会で米ベライゾン・ワイヤレスとの提携に向けた動きが発表されたが、電子書籍が普及している欧米市場を中心になるべく早期の参入を目指すとした。

まずはクラウドメディア事業第1弾となる電子ブックストアサービスをフックにタブレット端末GALAPAGOSの普及を急ぐ。「早い段階で100万契約を目指したい」(大畑氏)。

タブレット端末「GALAPAGOS」の価格や発売日などの詳細は後日発表予定