──寄せられたコメントに対して、愚直なまでに誠実に回答したり、真意を丁寧に説明しようとするたぬきちさんの姿勢が印象的でした

まあ、それは私の性格もあるんでしょうね。あと、今回のブログを書き続けるにあたっては、佐々木俊尚さんの影響も少なくない。『ネットがあれば履歴書はいらない』(宝島社新書)など、佐々木さんの著書からたくさんの示唆をもらいました。

佐々木さんが一貫しておっしゃっていることですが、ネット上で情報を発信する場合の心得として「ウソはいけない」「インターネットは正義を実現する」という2つの指摘があります。私も、その教えを忠実に守っただけ。特別なことはしていませんよ。いや、きちんと守れてなかったかもしれませんが、個人的には守るよう努めました。

それから、コメント欄で賛否が入り乱れてきたとき「たぬきちのブログが炎上した」なんて評する向きもあったのですが、個人的にはよくある炎上と質が違うものだととらえています。

たとえば芸能人のブログのコメント欄がめちゃめちゃに荒れる、というような状況だと、エントリーに関係のない罵詈雑言や根拠のない誹謗中傷が次々とコメント欄にアップされて、まともなコメントさえも書き込めない事態に陥ったりする。それが、いわゆる炎上でしょう。

ただ、私のブログの場合、もちろん批判的なコメント、辛辣なコメントはたくさんありましたが、みんな実のある書き込みばかりでした。意味のないコメントはほとんどなかった。いろいろと参考になったし、刺激ももらいました。日記を読んで、コメントしてくださった方々にはいくら感謝しても足りませんよ。

──だからこそ、本書でもご自身のエントリーと合わせて、読者コメントも可能な限り盛り込んだ、というわけですね

リストラなう!』は、日記のエントリーとコメントを合わせてひとつの存在だと思いますから。

とはいうものの、全部のコメントに回答できたわけじゃないんです。それが申し訳なくて。本当は全部のコメントに、きちんとレスをしたかった。思うように返事できなかったことには、いまでも忸怩たるものがあります。

──書籍に収録したコメントについて、文字数に応じて発言者に印税を分配する(詳細)というのも、非常に丁寧な対応と感じました。献本する程度でお茶を濁してしまうケースも少なくないのに

そうですか? 別に偉くもなんともない、当たり前の対応ですよ。計算そのものは"エクセル先生"がやってくれますし、振込などの手間にしても大したことではありません。コメントしてくださった方々の正当な権利だと考えていますから、誠実に対応させていただくだけですね。……続きを読む