イタいふりして稽古のお願い…山崎邦正の特権?

―――7月24日にアミューズミュージアムで共演される雀々師匠とはもともとお知り合いだったんですか?

「サブロー師匠(大平サブロー)と雀々師匠が大阪で一緒に『二人会』をやられてて、1回ゲストでださせてもらったんですよ。それで雀々師匠の落語をみたときにああやっぱり枝雀師匠のお弟子さんなんやな、踏襲されてんやな、と思いましたね。

正直、東京にはまだそんなに来てないし、こっちの人は知らないと思います。けど、ほんま面白い。天才ですよね、この人。神保町に『らくごカフェ』てのがあるんですが、雀々師匠のときはお客さんみんな、もうひぃひぃいって、涙流して笑うらしいですよ。飲み物の売れ行きが半端やないんですって」

――雀々師匠はとにかくパワフルな芸風ですよね(笑)。

「大阪っていうのは笑わせな、っていうのはあるけど、江戸は聞かすっていうんかな。お客さんも大阪だと楽しませてほしいという感じで観にくるけど、江戸のヒトはなんか学びたいみたいな……どっか違うと思います。それに江戸の人の中では『関西弁がきらい』って落語ファンの方もまだいますけど、ほんま雀々師匠おもろいので、一度聞いてみてほしいですね」

桂雀々の秘密クラブ「地獄八景亡者戯を聞こう」

月亭方正(山崎邦正)も前座で登場する、桂雀々の秘密クラブ「地獄八景亡者戯を聞こう」は、雀々師匠が50歳を祝して「五十歳 五十カ所地獄巡り」ツアーとして実施するもの。三味線二人、太鼓一人の生のお囃子とともに演じられる本格的な高座が楽しめる
「もう雀々師匠のネタやったらなんでもよかったんだけど、どうせつけてもらうんやったら"酔っぱらい"とか"おばあちゃん"役とか、なんか"役"があったほうがいいかなぁと思って。ほな"丁稚"やと。それで丁稚と旦那のネタ『鼻ねじ』をつけてもって、イベントではそのネタをやります」(山崎)

――今回は、その雀々師匠に稽古をつけてもらったとか。

「ほんまはね、僕なんかみたいに、落語はじめて2年目のヒトが、雀々師匠(桂雀々)やら志の輔師匠(立川志の輔)、鶴瓶師匠(笑福亭鶴瓶)に稽古つけてくれ、なんて……もちろん常識としてはあかんのですよ。というか、みんな行かれへん。

「志の輔師匠に挨拶しにいったら『テレビのことはあれやけど、落語のことなら教えられることはあると思います』といってくださって」

でも僕は……ある種、イタいふりして(笑)。コイツわかってないんやな~って思われる覚悟で『稽古つけてください』って。まぁそれがこれまで、山崎邦正という名前で20年やってきたある意味、特権というか。場数も踏んできて心臓が強くなってる部分もあるんでしょうけど」…つづきを読む