FXオンラインジャパン アナリストチームが最新のデイリーレポートをお届けする。前日の米株式上昇を受けリスク回避が後退し、為替市場ではユーロの買い戻し基調が継続した。対ドルでは1.24のラインを、対円では115円をタッチした。

また、RBA議事録が発表され、市場では利上げサイクルがひとまず終了するシグナルと受け止めた感も出たが、ユーロの買い戻し基調に連動し底堅い展開となった。

このような為替市場の落ち着きを反映し、東京&香港株式市場も底堅い値動きとなった。しかし、債務問題への市場の不安感は根強く、買い戻し一巡後は徐々に利益確定売りの様相となり、日本225種の上昇幅は小幅にとどまった。

アジア市場の流れを見る限り、本日の欧州タイムもリスクテイク基調で推移する可能性がある。また、時間外で米株先物やユーロ50種先物も堅調な値動きとなっており、昨日下落した金融セクターや資源系セクターで堅調な値動きとなるか注目される。

特に後者の資源系では、リスク回避による銅価格の急落を受けて売りバイアスが強まった経緯があり、鉱山株で買い妙味が出ている銘柄を物色されるか。また、メキシコ湾の原油流出事故の対策に関しても、ようやく『折り返し地点を過ぎた』とBP(BP.L)がコメント。

実需面では高値警戒感が出ているが、WTI6月限で70.00ドルの心理的ラインを割り込んだ場合、値ごろ感から投資家の買い妙味が増すとの意見も聞かれるため、エネルギーセクターでの動向も、本日の欧米株価指数の動向を占う上で重要になる可能性がある。

仮に株式でのリスクトレンドが継続した場合、為替市場ではユーロや資源国通貨の買い戻し基調が一層強まり、ユーロドルは1.24のラインを、豪ドルドルでは0.88のラインをそれぞれ完全に上抜けるかが焦点となろう。ドイツのメルケル首相がドイツやフランスに関する緊縮財政措置に言及したことも好感されるか注目したい。

逆に反落するようなら、上記それぞれのラインが、目先のレジスタンスとして今後意識される可能性が出てくる。

一方、これからの主要経済指標をみると、まず17:30に4月の英消費者物価が発表される。前年比で3.4%から3.5%へ上昇するとの見通しとなっている。仮に市場予想以上となれば、インフレターゲットとして想定している3.0%を4カ月連続で上回ることになる。

また、18:00には独&ユーロのZEW景況感指数が発表される。ともに前回よりも低下しているとの予想となっており、17時半以降、これらの経済指標の内容如何で欧州通貨が大きく上下に振れる可能性もあるため、その内容には注視したい。

その後NYタイムへ入り、21:30に4月の米生産者物価指数と住宅関連指標が発表される。前者のPPIは前回よりも低下するとの見通しだが、住宅着工件数&許可件数は前回値を上回る予想値となっている。市場予想と比較しサプライズな内容とならない限りは、インフレが抑制され住宅市場が好転しているとの思惑により、株式市場にとってはポジティブ要因となる可能性が出てくる。

株式市場でのリスクテイクが強まれば、その波は為替市場や商品市場へも波及し、上述した通り欧州通貨や資源系での買い戻しというシナリオが浮上するだろう。

しかし一つ懸案事項を挙げるとすれば、明日5月19日に控えるギリシャ国債の償還をめぐり、ネガティブ観測が飛び交うようなことがあるかどうか。仮にそのような状況となれば、市場は一気にリスク回避へと動く可能性が出てくる可能性が高まるため、債務関連ニュースには注視したい。

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