話す前に書く

――三橋さんはブログもスピーチのためのメモとして使っているとうかがいました

私は自分が体験したことをすぐ人に話すのではなく、一度ブログに書き起こし、考えをまとめてから話すようにしています。 実はブログとスピーチには共通点があるので、ブログを書くとスピーチのリハーサルを1回したことになるのです。

――ブログとスピーチの共通点とはなんでしょうか

一つめは伝えたいことがあること。二つめは人に見られている場であること。そして三つめは評価がダイレクトに伝わるということです。

――スピーチのリハーサルとしてのブログはどのように書けばいいのですか?

最初から「ですます」調で書くのではなく、まずは気軽な話し言葉で書くことです。「なんだよねー」「(笑)」「えーっと」など、普段自分が話している感覚でかまいません。

もちろん本番のスピーチではこうした言葉づかいはしませんが、ブログの段階では怖がらずに話し言葉で書いてください。とにかく「人に話す前に自分の考えをまとめておく」習慣をつけましょう。

例えば「昨日たまたま入ったイタリアンで食事したらおいしかったよ」と友人に話しかけたにもかかわらず、「どの料理の何がよかったのか」と聞かれて答えられなかったことはありませんか? 自分がその時何を思ったのかは、意識していなければなかなか説明できないものです。ブログを書くと自分を客観視できるようになるのでおすすめします。

――他に気をつけるポイントはありますか?

文章はくだけた感じでもいいのですが、お話しした「共感」「知識」「笑い」のいずれかを入れることを忘れないようにしてださい。マッピングメモを見ながら文章の理論を立てるのもいいでしょう。

書いたものを音読するとさらに効果的です。その後に文章を見ないでも話せるかどうか試してみましょう。これを習慣にすればかなりスピーチ力が上がると思います。

――三橋さんはブログで書いたことをすべて披露しているのですか?

書いただけで話さなかったこともあります。そんなときでもブログはアーカイブとして保存しておけるのがいいですね。過去の記事を参照したうえで新しいスピーチを考えれば、自分の発言に一貫性を持たせることもできます。

文字制限を逆手にとる

――アナウンサーという立場から、ツイッターをどうとらえていますか?

140文字の制限を逆手にとって、言葉選びのセンスを磨き、短い時間で印象的なスピーチをする練習になると思います。つぶやきを2個、3個にわけて書くのではなく、あくまで1テーマを140字以内で完結させることが大事だと考えます。

私は後輩にも「よくわかってなくてもいいから、とにかくツイッターは始めておけ」と言っています。ツイッターを使うと、いかに自分が余計なことを言っているかがわかるので、無駄がそぎ落とされていきます。アナウンサーのトレーニングにもツイッターは使えると思います。

――限られた文字数で伝える訓練は、一般の人にも役立ちますね

一定の条件の中で自分の力を出すという訓練は、どんな分野にも通用すると思います。「3分以内で説明してください」「30秒で自己紹介してください」という場面に遭遇したときに、普段から訓練をしておけば焦ることもないでしょう。はっきりとした目的意識があれば、ツイッターはとても有益なものになると思います。

個人的には「渋谷なう」ひとことだけではもったいない気がします。気軽なコミュニケーションツールとして使うのもいいのですが、ツイッターはむしろブログやメールマガジン以上に気をつかうことで、より効果を発揮すると思うからです。

――なぜそう思われるのでしょうか

ツイッターは俳句や短歌に似ていると思うんです。例えば「桜」「さくら」「サクラ」「sakura」のように、一つのことを表わすのにも漢字、ひらがな、カタカナ、ローマ字の表記が可能です。伝えたいことや自分のキャラクターにはどの言葉が合うのかと推敲を重ね、140文字の作品として提出する気持ちが大事です。

だからこそフォロワーは「この人の言葉はいつも鋭いから、リストに入れておこう」と思うわけです。もし多くのフォロワーを引き付けておきたいのなら、常に質のいいつぶやきを提供しなければいけません。ある意味ツイッターはとてもストイックなものだと思います。

ツイッターにはたくさんの可能性があると思います。私もフォロワーが2千人を超えることを目標に頑張っています。

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次回は、「ダイバー用水中ノートでスピーチを考える」についてうかがいます。

INTERVIEWER PROFILE : 早川洋平 / KIQTAS(キクタス)
中国新聞社記者、全国紙系編集プロダクションのライターを経て入社した企画会社で2008年、良書の著者へのインタビュー音声を無料で配信するポッドキャスト番組「人生を変える 一冊」をスタート。配信後2カ月でiTunes store podcastビジネスランキングで21日間連続1位を獲得、月間20万DLの人気番組に成長する。独立起業した現在は、インタビューやライティングに加え、ポッドキャストを軸にしたコンサルティング、コンテンツプロデュースなどを行っている。
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