FXオンラインジャパン アナリストチームが最新のデイリーレポートをお届けする。アジア株式市場は、前日の欧米株高により投資家のリスク許容度が拡大したことから、軒並み上昇。東京株式市場は、前日比200円を超える水準で取引を終了すれば、香港HSも序盤から強気の展開が継続していた。

そして株式市場でのリスクテイクは、為替市場でのリスク通貨の買い戻しを誘発。ユーロは対ドルで1.27を目指す展開となれば、政治的リスクも後退したポンドも1.48で底堅い展開を維持したまま欧州タイムを迎えつつある。

ギリシャ緊急支援策やスペインの財政赤字削減策を材料に、ソブリン・リスクへの懸念が後退しつつある。昨日の米捜査当局によるモルガン・スタンレー(MS.N)の捜査も、他の金融機関へ波及することなく株式市場でのリスクテイクが強まったところを見ると、欧米株式は再び好調な企業業績を反映した業績相場へと戻っていく兆しも見てとれ、本日もそのような展開となれば上昇圧力が強まろう。

また、M&A関連も本日の株式の下支え要因となりそうだ。独ソフトウェア開発大手SAP(SAPG. DE)は、ライバルであるSybase(SY)を58億ドルで買収する計画であることを表明した。現在、欧米市場の牽引役はハイテクセクターが先導している面があり、インテル(INTC.O)やIBM(IBM.N)の強気の利益予想と合わさり、引き続きハイテク株を押し上げるかが注目される。

ただ、為替市場ではユーロが依然として不安定な動きとなっている。確かにギリシャ債務懸念後退による買い戻しは継続しているが、チャート上では1.27のライン手前で上値が抑えられ、1.26のラインでかろうじて下支えされている展開となっている。

1.26前半にはストップロスが観測されることから、欧州債務問題で投資家の不安心理を煽るようなコメントや格付け機関の動きがあれば、投機筋がストップハンティングに動く可能性もあるため、気の抜けない状況は継続している。仮に1.26を割り込む展開となれば、円相場も円高基調が再び強まり、ドル円は92.00のライン割れが再び視野に入る可能性が出てくる。

尚、本日の市場を動かす材料を欧州タイムから見ると、17時のECB(欧州中銀)月例報告、17:30発表予定の3月英商品貿易収支とDCLG住宅価格だろう。

特に後者の英経済指標は、米国の景気回復スピードを比較すれば遅いものの、徐々に上向いていることが先週の経済指標で確認されている。結果如何で、英景気回復への期待感とソブリン・リスク懸念後退のトレンドに乗りリスクテイクの展開となるか、リスク回避によりポンドや英株式で売り圧力が強まるか注目したいところ。

その後NYタイムに入ると、21:30に新規失業保険申請件数が発表される。前回の44.4万件を下回る44.0万件との見通しだが、先週末の米雇用統計が市場予想を上回っただけに、米雇用情勢改善への期待感は大きい。そのため、結果如何で大きく本日の相場を大きく動かす要因となり得るため、ソブリン・リスクへのあらたな進展と共に注目したい。

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