川崎重工は29日、米国の現地法人Kawasaki Rail Car,Inc.(KRC:ニューヨーク州ヨンカース市)を通じて、ニューヨーク市交通局より地下鉄電車R188型の新車23両と、既存車R142A型10両の改造について発注の内示を受けたと発表した。受注金額は約81億円。2011年から2012年にかけて順次納入する予定。内示を受けた契約には新車123両とR142A型350両改造のオプションがあり、当局の予算が承認され次第履行される見通しとのこと。ニューヨーク市交通局は全米第1位の車両保有数を誇り、川崎重工は1985年より受注している。現在までに累計2,000以上の納入実績があり、同社の車両はニューヨーク市交通局でトップシェアを誇るとのこと。

川崎重工製地下鉄車両(R142A型)

新造されるR188型車両は1両あたり長さ15.6m、幅3.1m、高さ2.5m。11両編成で運行する。車体はステンレス製。同社が2001年から2005年にかけて600両を納入したR142A型を基本設計とし、最新型の列車制御システムCBTCを搭載する。CBTC(Communication Based Train Control)は制御情報を無線で列車に送信するシステムとのこと。従来の列車制御システムはレール上に信号電流を流して速度を制御していたという。

R188型の製造については、構体製作を兵庫工場で、機器取付けと最終組立、試験をヨンカース工場(米国ニューヨーク州)で行い、順次ニューヨーク市交通局へ納入するという。既存のR142A型のCBTC化改造はすべてヨンカース工場で行うという。ニューヨーク市交通局は、既存の地下鉄路線についてCBTC方式の導入を進めており、今後も継続的な車両発注が行われる見込みとのこと。