街中がまるでディズニーランドの気分

カナダのバンクーバーで17日間にわたって繰り広げられた2010年冬季オリンピック。開幕中は連日、日本のメディアもこぞって競技の中継や選手の様子を伝えていたが、それ以上に現地は、連日連夜、お祭り気分で盛り上がりを見せていた。

街中にパビリオンや限定ハウスがいくつも建てられ、夜遅くまで賑わっていた。ダウンタウンのロブソンスクエアを中心に、様々なストリートパフォーマンスが繰り広げられ、子どもからお年寄りまで、誰もがそこにいることを楽しんでいた。街中がまるでディズニーランドになったような雰囲気だった。

IT系企業からのスポンサー施設も多かった。そこで行われる催し物は、ネット、モバイル、タッチパネル、3D、AR(拡張現実)といったテクノロジートレンドが、うまく取り入れられていたのが特徴的だった。

本稿では、オリンピックのもう一つの顔「IT企業パビリオン対決」をレポートする。

パビリオンが集結するライブシティ

ダウンタウンとイエールタウンに建てられた「ライブシティ」と呼ばれる施設には、皆で競技を観て楽しむことのできる映画館並みの巨大スクリーンや、ライブコンサート用のステージ、パビリオン等が集結していた。パビリオンは、スポンサー企業や関係団体によるもので、中ではオリンピックやカナダに関係する様々なアクティビティを楽しめる。

ライブシティのステージ

ライブシティは、オシャレなカフェやレストランが並ぶバンクーバーのダウンタウン東南、イエールタウンにある。コカ・コーラ、パナソニック、サムスン、エイサーなど世界的企業がスポンサーとなるパビリオンが集結していた。入場料や会場内でのエンターテインメントや、クティビティなどはすべて無料だ。

一番人気はコカ・コーラ パビリオン……そのワケは?

まず、空港並みのセキュリティチェックを行い、ライブシティエリア内へ入る。巨大なコカ・コーラ缶をモチーフにした建物が、どどーん! と存在感を放っている。"エコ"が大きなテーマになっているので、街中にペットボトル型のリサイクルボックスが設置されていた。どうやら巨大モチーフはその親分となるもので、全ての空きボトルはここに回収されるといったイメージのようだ。

一番人気のコカ・コーラパビリオン

晴天の週末時には、2時間待ちともなったほど大人気のパビリオンだ。筆者は曇り空の夕方を狙って行ったので、30分程度の待ち時間で入場できた。

列に並んでいる間は、スタッフがコカ・コーラにまつわるトークで和ましてくれる。なんでも、彼らが着ているロゴ入りユニフォームは、すべてコーラのペットボトルからリサイクルされたものだそうだ。Tシャツなら5本、パンツなら11本のペットボトルを使用しているという。

入口では、女性スタッフが元気よく「ウェルカム!」と声を掛けて入場者一人ずつとハイタッチ、自然にテンションが上がる。同社は、1928年アムステルダム大会以来、オリンピックに協賛しているとのことだ。

パーティルームに入ると限定コークを手渡される。バーの後ろ手にあるスライド式のクーラーからボトルが滑り落ちてきて、かっこいい。なんでも、コーラが美味しく飲める適温で冷やしてあるのだとか

中では関連グッズが展示されていて、コカ・コーラとオリンピックの歴史を見ながら順番待ちをする。間もなくスクリーンのある部屋に通されると、そこではコカ・コーラとオリンピックの歴史映像を見せられる。"パビリオンってこんなもんかなあ"と思っていると、映像が終わるやいなや前方のスクリーン部分が扉として開く。霧のシャワーカーテンの向こうは楽しげな「パーティルーム」だ。

パーティルーム全体の様子:アーティストによるデザインの巨大コークが飾られたコカコーラ館のパーティルーム

トーチを持っての記念写真はその場で特設サイトにアップロードされる。ユニークIDさえあれば、インターネットからのアクセスで何時でもどこでも閲覧可能なので、知人、友人と即共有できる

リサイクルボックスを持って(リアル)、スクリーン上で落ちてくるコーラ(バーチャル)を拾うゲーム

白熊の手の形をしたグローブをつけた手(リアル)でかきながら、水の中(バーチャル)を競争するゲーム

出口のリサイクルボックスには、オリンピック期間中にバンクーバーで回収されたボトル数が電光表示される

パーティルームに入るとカウンターバーで、ひとり一本ずつのオリンピック版コカ・コーラを手渡される。会場内にはゲームやアクティビティも用意されていた。人気だったのはトーチを持っての写真撮影だ。写真はそのままネットにアップロードされ、後からインターネットからダウンロードするという方法がとられていた。この写真撮影&ネットの連携は多くのパビリオンが採用。体験型のリアルとバーチャルを組み合わせたゲームもかなり楽しめた。

これらのアクティビティに参加する際に、先ほどのコーラの空きボトルのバーコードをスキャンしてもらい、出口にあるリサイクルボックスに投函すると、オリンピック限定で用意されたシリアル番号付きの"光るボトル"と交換してくれるという仕組みになっていた。単に「リサイクルしてね」と呼びかけるだけではなく、"楽しみながらエコ意識"が高まるインタラクティブな楽しい仕掛けだ。