――『サヨナライツカ』の現場で、今後につながるような影響はありましたか?

西島 : 「影響は大きいと思いますね。監督から「お前はもっとできる」と言われて、もっともっと意識の先とか、肉体表現の先を見たいという欲求が強まったんですよ。この現場の影響で、僕の演技もどんどん変わっていくと思います」

――これまでは「自分にはここまでしかできない」と思ってらっしゃった部分もあるんですか?

西島 : 「というか、ちょっと語弊があるかもしれないですけど、僕はこれまで事前にキッチリ役作りをして、それをカメラの前で表現するというアプローチはしてなくて。もちろん準備は事前にしますけど、むしろ現場で起こる突発的な出来事や失敗、勘違いをも信じて、無防備に堂々とカメラの前に晒すことに興味が強かったんです。そうすることがその後大きく迂回して正解につながっていったり、役がより豊かになるような気がして。でも今回キッチリ役を作ってみて、徹底的に準備をすることと、まったく無防備な状態でカメラの前に立つことを両立させる方法もあるのかな、と思ったんです」

――お芝居への熱意をすごく感じますが、何がそこまで西島さんを惹き付けるんですか?

西島 : 「"さぁ、このカメラの前でオレのパフォーマンスを見せてやろう!"っていうことじゃなくて、撮影部や照明部、俳優部すべてのチームが何年もかけて準備したものがここにあると感じて、現場に立てることがすごく面白いんです。映画の現場は立ってるだけで面白い。いいものですよ」

――テレビの現場とは全然違いますか?

西島 : 「違うものがありますね。テレビがつまらないとかじゃなくて、全然別物ですね。きっと立ち会えば、みんな"こんなに面白いことがあるんだ"って思うんじゃないかな。『何かでちょっとでも関わると抜けられなくなるから、辞めるなら早く決断しろ』って後輩に言ってる人を見たこともあるし。それがどんな映画であっても、人にどんなにつまらない映画だと言われても、現場は楽しいんですよ。だから、今後も映画の現場に関わっていけたら、すごく幸せだなって思います」

――では、最後に2010年の抱負をお聞かせ下さい。

西島 : 「今まで通りかな(笑)。僕はこれまで1本1本、監督や作品、スタッフの縁で仕事をさせて頂いてきたので、今までどおり縁を大事にして全力でやっていきたいと思います。できれば、コメディーをやりたいですね」

『サヨナライツカ』は1月23日より全国ロードショー。