阪神・淡路大震災から15年目を迎える神戸を舞台にしたラジオドラマ『かわり目~父と娘の15年』(NHK-FM 2010年1月16日 22:00~)が放送されることになり22日、出演者の橋爪功、木南晴夏、桂吉弥がNHK大阪放送局で会見を行った。

左から、木南晴夏、橋爪功、桂吉弥

ドラマの主人公となるのは、震災で妻を亡くした神戸の自転車店店主(橋爪)と当時は小学生だった娘(木南)。明日が妻の15回目の命日という2010年1月16日、娘が小学校時代の担任教師8吉弥)の子どもを妊娠したと突然告白したことをきっかけに、震災で傷ついた家族が再生していく様を関西らしいユーモアを交えて描く、涙あり笑いありの人情喜劇だ。

震災直後の被災地に駆けつけ、各所で子ども向けの芝居を披露した経験を持つ橋爪は「神戸の長田では、ちょっと不良っぽい地元の少年がすごく面倒見てくれて、『おっちゃん、風呂入ってないんやろ? 風呂行こ!』と銭湯に連れて行ってくれた。逆に俺が元気をもらった」と当時を振り返り、「ドラマの台本を読んで、その少年のことを思い出した。(ドラマの主人公は)妻を亡くしている。それは深刻なことだけど、それでも生き残った家族は生きていかなきゃならない。そのエネルギーが描かれている台本だと思う」とドラマの感想を語った。

映画『20世紀少年』などで注目される木南は大阪出身。震災時は9歳で、豊中市にあった自宅に大きな被害はなかったというが、「震災の後、兵庫県の宝塚に行ったとき、1階部分が潰れて平屋のようになっている家を見てショックを受けた」と当時の体験を。神戸大学の学生だった吉弥は神戸市灘区の自宅アパートで被災。「明るく日常を送っているんだけど何かを抱えている。そんな震災後の神戸の人たちの心情が、重々しくなく、しっかりと表されていると思う」とドラマの印象を話していた。

また、ラジオドラマに出演するのは吉弥が初、木南は2回目。さらにベテランの名優・橋爪との共演とあり、「すごく緊張してました」という木南だが、「橋爪さんの声は、日が傾きかけたころから夕暮れの風景を思わせるようなとても温かい声。それを聞きながら感動してました(笑)」と感想を。これに対し、ラジオドラマの経験が豊富な橋爪は「ラジオドラマは好きなんだけど、すごく難しくて大変。ああすればよかったと後で落ち込むことも多くて、二度とやりたくないと思う。でも時間が経つと、またやりたいと思うんだけど(笑)。吉弥さんと木南さんが落ち込んでたら励ましますよ」と後輩のフォローを約束して笑わせていた。