カール・マルクス著の『資本論』を分かりやすく解説した漫画『資本論―俺たちの90日戦争―』がこのほど、サンガより発売された。作画は阿部はるき、監修は的場昭弘(神奈川大学経済学部教授)、監修協力は関根秀一郎(派遣ユニオン書記長)。

同著は『超訳『資本論』』(祥伝社新書)等の著書で知られる的場昭弘氏の監修の下、マルクスの『資本論』のうち、労働力の商品化や剰余価値を生み出す仕組み、資本の蓄積とそれによって発生する失業の関係などが漫画でわかりやすく解説されている。

また、無権理状態に置かれた非正規雇用で働く若者たちが、理不尽な会社の扱いに抗し、社会の仕組みと向き合い、自分たちの権利を守るためにどうすればいいかを、関根秀一郎派遣ユニオン書記長監修のもとに物語化されているとのこと。

価格は1,300円(税別)。体裁はB5判、並製 カバー装 176ページ。

漫画『資本論―俺たちの90日戦争―』あらすじ

資本主義が本来の牙を剥きはじめた今、
無権利状態に置かれた非正規雇用で働く若者たちの、
人間らしく生きる権利、人間らしく暮らす権利、幸せになる権利を守り、
勝ち取るための闘いがはじまった!

大手家電メーカーに派遣労働者として働く3人の若者が、契約期間中途での契約解除を通達され、併せて派遣会社が借り上げている寮からの退去も通告される。

自棄になって酒をあおる3人に、行きつけの居酒屋の、かつて大学紛争を闘った全共闘世代であるオヤジが、3人に組合をつくって闘うことを勧め、理論武装をつけるべく3人に『資本論』をレクチャーする。

『資本論』を学ぶなかで、資本主義のからくりや、その中で翻弄される自分たちのような労働者が生み出されていく仕組みを知り目覚めた3人の若者は、ユニオンを結成し、派遣先の会社からの数々の嫌がらせにも屈することなく、働く者の生活する権利、生きる権利、幸せになる権利を守り、勝ち取るため敢然と立ち向かい、ついに一定の勝利を収める。

その祝いの席で居酒屋のオヤジは言う。「権利は心優しい資本家が与えてくれるものじゃない。闘い取っていくものだ。誰かが声を上げなければ、闘わなければ、世の中は変わっていかないのだ」と。社会や会社の不合理や理不尽さを、ただ「仕方ない」と受け入れ諦めてしまっている多くの働く人たちに、2008年末から2009年初頭にかけて開設された「年越し派遣村」が政治を動かしたように、声を上げれば、団結すれば状況は変えていくことができるのだということを、そういうメッセージを本書は伝える。