寝台特急「サンライズ出雲(東京 - 出雲市)」

寝台特急サンライズ出雲(写真提供: JR西日本)

「サンライズ出雲」と次に紹介する「サンライズ瀬戸」は東京 - 岡山間を連結して走る。東京発は22:00。この列車が東京駅を走る唯一の寝台特急だ。下り列車は、早朝の岡山で「サンライズ瀬戸」と別れたあと、「サンライズ出雲」は伯備線を経由して日本海側に向かい、米子、松江などに停まって出雲市に9:58に着く。上り列車は出雲市を18:55に発車し、深夜の岡山で「サンライズ瀬戸」と連結して、東京には7:08に着く。

東京 - 山陰方面で考えると、下り列車の到着前に始発の飛行機が到着する。上り列車の出発後に最終便の飛行機が出る。それゆえに、利便性では微妙なダイヤだ。ただし、東京と山陽方面の接続ではメリットが大きく、とくに上り列車の大阪発は0:34で、高速バスも含めて東京へ夜間移動できる最終便となる。このためビジネスマンにも実用面で人気だ。

「サンライズ出雲」は、居住性の点では全寝台列車の中でもトップクラスだ。使用されている車両は285系という寝台専用の電車で、「サンライズ出雲 / 瀬戸」のために作られた。内装は住宅産業のミサワホームが手がけており、木と暖色系照明を多用した安らぎの空間を演出している。航空機より不便と言われる東京 - 山陰間の寝台だが、ゆったりとした旅を好む人に支持されている。

客室は個室が中心で、A寝台1人用個室、B寝台1人用個室、B寝台2人用個室、B寝台1人/2人用個室、B寝台1人用個室、ノビノビ座席となっている。B寝台1人用個室は「ソロ」と「シングル」があり、「シングル」は「ソロ」より1,000円高い。ベッドサイズは同じながら、「シングル」は天井も高く広々としており、差額以上の快適性があるという。また、ノビノビ座席は横になれるスペースがある「座席」という扱いで、寝台料金は不要。安価に利用できるため、早く売り切れる傾向があるらしい。

食堂車や車内販売もないため、乗車中の飲食物は乗車前に用意しておきたい。シャワールームがあり、310円で利用できる。A寝台利用客には無料のシャワールームが用意されている。また、8座席分のミニサロンがあり、深夜の談話などに利用できる。

2人用「サンライズツイン」(左)、1人用「シングルデラックス(左)(写真提供: JR西日本)

「サンライズ出雲」列車データ
運行区間 下りは東京(22:00発) -出雲市(9:58着)、上りは出雲市(18:55発) - 東京(7:08着)。毎日運行
設備 A寝台1人用個室「シングルデラックス」、B寝台2人用個室「サンライズツイン」、B寝台1人/2人用個室「シングルツイン」、B寝台1人用個室「シングル」、B寝台1人用個室「ソロ」、ノビノビ座席
運賃+料金(例) 東京 - 出雲市間 28,160円(A寝台1人用個室 1人分)、14,810円(ノビノビ座席 1人分)

寝台特急「サンライズ瀬戸」(東京 - 高松)

サンライズ瀬戸(写真提供: JR西日本)

「サンライズ瀬戸」は、東京駅を「サンライズ出雲」と連結して22:00に出発する。下り列車は深夜の岡山で分割したあと、瀬戸大橋を渡り、高松には7:27に到着する。上り列車は高松を21:26に発車し、深夜の岡山で「サンライズ出雲」と連結して、東京駅には7:08に到着する。上り、下りとも航空機最終便以降に出発し、始発便より早く到着するので、むしろライバルは高速バスといえる。しかし、当然ながら居住性は列車のほうが格段上である。実用性と居住性を両立させた列車だと言える。

「サンライズ瀬戸」と「サンライズ出雲」の車両は同一の編成で、ローテーションを組んで使用されている。客室は上記の「サンライズ出雲」と同じだ。

寝台料金なしで乗れる「ノビノビ座席」(写真提供: JR西日本)

「サンライズ瀬戸」列車データ
運行区間 下りは東京(22:00発) -高松(7:27着)、上りは高松(21:26発) - 東京(7:08着)。毎日運行
設備 A寝台1人用個室「シングルデラックス」、B寝台2人用個室「サンライズツイン」、B寝台1人/2人用個室「シングルツイン」、B寝台1人用個室「シングル」、B寝台1人用個室「ソロ」、ノビノビ座席
運賃+料金(例) 東京 - 高松間 27,510円(A寝台1人用個室 1人分)、14,160円(ノビノビ座席 1人分)