TVアニメ作品として第三期シリーズまで放送された「魔法少女リリカルなのは」が劇場作品『魔法少女リリカルなのは The MOVIE 1st』として、2010年1月23日に公開される。今回劇場版として制作される本作は、TVシリーズ第一期をベースとしながらも、「パワーアップリメイク」と称された、新作シナリオ&完全新作映像による作品となっている(作品の詳細についてはこちらのページを参照)。

『魔法少女リリカルなのは The MOVIE 1st』は2010年1月23日公開


メインキャスト陣が語る『魔法少女リリカルなのは The MOVIE 1st』

『魔法少女リリカルなのは The MOVIE 1st』は、全編新作映像ということで、もちろんアフレコも新たに行われている。そこで今回は、劇場版のアフレコ収録を終えたメインキャスト陣を囲んで行われた取材の様子をお伝えしよう。取材には、高町なのは役の田村ゆかり、フェイト・テスタロッサ役の水樹奈々、ユーノ・スクライア役の水橋かおり、アルフ役の桑谷夏子、クロノ・ハラオウン役の高橋美佳子、プレシア・テスタロッサ役の五十嵐麗、リニス役の浅野真澄、エイミィ・リミエッタ役の松岡由貴、リンディ・ハラオウン役の久川綾といった9名が参加。映画化についての率直な感想や作品の見どころなどについて語ってくれた。


――まずはご自身が演じる役どころについて教えてください

浅野真澄「リニスという役をやらせていただきました浅野真澄です。リニスは、子どものころのフェイトちゃんの面倒をみていた使い魔で、フェイトちゃんが魔導師になるまでのお世話をする、もともとはヤマネコだった女性です。出番はそれほどたくさんあるわけではないですが、ものすごくおいしい立ち位置だと個人的には思っています(笑)」

高橋美佳子「クロノ・ハラオウン役の高橋美佳子です。クロノくんは時空管理局執務官という肩書きをもっていまして、年齢も15歳と若いのですが、一人前のお仕事をしています。魔法の世界の警察官みたいな役回りをやっています」

水橋かおり「ユーノ・スクライア役の水橋かおりです。ユーノくんは遺跡の発掘をしていて、ジュエルシードを発掘し、それが船ごと襲われてしまって、なのはのところに来たという経緯があるのですが、これは"偶然という名の必然"だと思っております。ユーノくんは今回もおいしいポジションにいるキャラクターで、なのはのベッドの上にさりげなくいたりします(笑)」

田村ゆかり「私立聖祥大附属小学校3年、高町なのは役の田村ゆかりです。なのははごくごく普通の女の子だったのですが、ユーノくんとレイジングハートに出会い、それからいろいろと前向きに戦っていく女の子です」

水樹奈々「フェイト・テスタロッサ役の水樹奈々です。フェイトは大好きなお母さんの命令で地球にやって来たミッドチルダ出身の魔導師です。ジュエルシードというとても大きな力を持つものを集めている過程で、なのはとは戦うことになってしまいます。本当はすごくいい子なのですが、いい子すぎるがために素直になれず、いろいろな事件が起こっていきます」

桑谷夏子「アルフ役の桑谷夏子です。アルフは水樹奈々ちゃんが演じるフェイトの使い魔としてフェイトに作ってもらった存在で、魔力をもらって生きているので、彼女が死んでしまったら一緒にいなくなってしまうような、本当に運命共同体なキャラクターです。全面的にフェイトを応援しているのですが、ちょっと違うぞって思ったらちゃんと意見をして止めたりもする、よき存在だと思っています」

五十嵐麗「プレシア・テスタロッサ役の五十嵐麗です。プレシアは、非常に娘を愛する、非常に娘思いのいいお母さんです。でもちょっとそれが度を越してしまって、道を踏み外してしまいました……。でも、やはりいいお母さんだと思います」

久川綾「リンディ・ハラオウン役の久川綾です。時空管理局の戦艦アースラの艦長をやりつつ、クロノのお母さんという立ち位置です」

松岡由貴「エイミィ・リミエッタ役の松岡由貴です。リンディさんとクロノくんとともにアースラに乗って、オペレーターをやっております。セリフにはけっこう難しい言葉がいっぱい出てきて、割といろいろなことの説明を私がやっているような気がしています。意外に大変です(笑)」

――TVシリーズ3期を経て、いよいよ劇場版になるというところで、作品に対する率直な感想をお願いします

浅野「私はTVシリーズには1回、(第二期の)『魔法少女リリカルなのはA's』で出させていただいているだけなので、劇場版で声をかけていただいたときは、すごくうれしかったですね。先ほども言いましたが、私はとにかくリニスはおいしい役だと思っているんです(笑)。やはり、観ている方はみんな、フェイトちゃんを守ってあげたいという想いがあると思うので、リニスがフェイトちゃんに優しくすることによって、『よかった』と感じていただけるのではないかと思いながら、とにかく優しく演じさせていただきました。これからもまた機会があればリニスも出てきてほしいなって思っています」

高橋「『なのは』シリーズは、TVシリーズのレギュラー番組の中で唯一の男の子をやらせていただいている作品なので、とても心に残っていた作品なのですが、そのキャラクターをまた映画としてやらせていただけるということで、とても喜びを感じています。クロノくんとしては、TVシリーズでは一期と二期で演じ、違うキャラクターで三期にも出させていただくなど、『リリカルなのは』にはすごくお世話になっているのですが、集大成的な映画にまでなってしまうだなんて、『なのは』シリーズがスタートしたころには想像もしていなかっただけに、とてもうれしく思っています」

水橋「劇場版では、けっこうフェレット姿が多いのですが、昔は『キュー』とかいって、ちゃんとフェレットをやっていたところを、今回はフェレット姿でも『俺は男だよ』っていうことを主張してみました。でも、けっこう華麗にスルーされている感じですね(笑)。魔法を使っているシーンが細かく描かれているので、魔法使いのユーノくんとしては活躍できたのではないかと思っています。『なのは』シリーズでは、いろいろな役で出させていただいて、本当にお世話になっているので、映画になるということには独特の感動があります。やはりここまでやってきて、あるひとつの頂点になれたのかなって思うと、すごく感動しましたね。この感動を皆さんにもそのまま伝えることができたらいいなと思っております」

田村「映画になるということはずっと聞いていたので、やっとなった! っていう感じですね。今回は二日に分けて収録したのですが、あまりにも重くて、腕がリアルに腱鞘炎みたいになってしまいました(笑)。テレビ版のリメイクということなので、もちろん核になっているストーリーは知っているのですが、劇場版になるにあたってもう一度アフレコをしてみると、テレビのときにはあまり注目していなかったところがすごく気になるようになりました。特にプレシア母さんのことがすごく気になり、お母さんの目線で勝手に見ていたので、五十嵐さんが先ほど『いいお母さんです』とおっしゃっていましたが、私も『いいお母さん』だと思いました。ぜひぜひ皆さんにも観ていただきたいと思います」

水樹「すごく思い入れのある作品なので、劇場版になると聞き、本当に夢のようで、幸せな気持ちでいっぱいになりました。劇場版の収録に挑むにあたり、無印のDVDをあらためて全部観たり、サウンドステージを聴いたりしたのですが、TVシリーズでは表現しきれなかった部分、ドラマCDでも表現できなかった部分が、今回の劇場版でしっかりと描かれています。特にフェイトとプレシア母さん、そしてリニスとアリシアという存在や家族の関係性がとても見えてきます。みんなが笑顔でいられる方法はないのかと、すごく考えさせられる、本当に心が温かくなるお話になっていて 、ますますパワーを増していく作品の魅力をあらためて感じました。二日間の収録を終えて、今は達成感でいっぱいです」

桑谷「私はこの仕事を10年ちょっとやってきたのですが、実は劇場版作品に参加するのは今回が初めてで、勝手がわからず、ずっと隣にいる奈々ちゃんにいろいろと教えてもらいながら収録させていただきました(笑)。『なのは』シリーズには第三期までずっと出させていただいていたので思い入れも強いですし、時間ではないのかもしれませんが、長くやればやるほどキャラクターにもすごく愛着が出てくるので、そういった作品で初めての劇場版がやれたことが、自分的にはすごくうれしかったです。アルフは3期とも出させていただいているのですが、やはり一番活躍しているのは第一期ではないかと思っていて、2時間超ある映画の中でもけっこう活躍させてもらっています。大きいアルフを演じるのは久しぶりだったので、若干キャラクターを忘れているところもありましたが(笑)、演じていく中で取り戻せたはずです。とても楽しんで収録できたと思います」

五十嵐「映画の話は少し前から風の噂で聞いていたのですが、私の役は思い出の中に出てくる、いわば思い出の1ページに過ぎないんだろうなって思っていたんですよ。それが台本をいただいたら、しっかりと描かれているだけではなく、さらに新しいエピソードも追加されていました。あらためて台本を読んでみると、TVシリーズのときのことが鮮明にすべて思い出せたんですよ。それぞれのセリフをどういう気持ちで喋ったかというところまで覚えているぐらい、プレシアは鮮烈で、印象深い役だったんですよ。それがこの劇場版になって、かつての、心が壊れてしまう前のまだ優しいお母さんだったころのシーンが盛り込まれていたりして、非常に役としてもふくらみがあり、さらにテレビのころにはわからなかった部分もすべて納得がいったうえで演じることができました。キャストの皆さんにも久しぶりに会ったのですが、まったくブランクを感じず、楽しくやらせていただきました」

久川「私も映画になるという噂を聞いたとき、自分が出られるかどうかわからなかったので、台本をいただいて読んだときにはビックリしました」

松岡「今回の映画に関しては、私も出していただけるのかちょっと不安だったのですが、台本をみると意外と喋っていて、けっこうポイントポイントで登場させていただいていました(笑)。実際に演じてみての感想になるのですが、いろいろな愛の形があるんだなっていうところにすごくビックリしましたね。この一作の中に、友情や親子の愛、きっとこれから芽生えるであろう恋愛的なものも含めて、いろいろな方向に向かう愛があるんだというところが、演じてみてとても面白かったですし、ご覧になる方にも、そういったところを感じていただけるのではないかと思います」

――皆さんが演じているキャラクターの見どころがありましたら教えてください

浅野「リニスは実質、一つのシーンに出てくるという感じなのですが、フェイトに対してすごく温かい愛情をストレートに出せるキャラクターになっているので、そういう意味では心が和むのではないかと思っています。かつての幸せだったころ、フェイトが子どもだったころの話も少し出てきて、そこにリニスもいるのですが、ドラマCDやアニメの本編では少ししか描かれていなかったところが劇場版で観られるというのが見どころになると思います」

高橋「クロノ的な見どころは、やはり魔法を使っているシーンだと思います。特に登場シーンで、なのはとフェイトに割って入るところは、TVシリーズのときからすごく印象深くて、セリフを全部覚えていたぐらい記憶に残っているシーンになっています。クロノにもいろいろと抱えている過去があるので、そういった気持ちも込めながらプレシアに対してぶつけるセリフは、重みがあって、カッコいいなと思っています。自分のシーンではないのですが、最後のユーノくんとアルフのふれあいのシーンが個人的にはすっごく好きです」

水橋「ユーノくんも、クロノに負けず、魔法を使っているシーンがとても男の子らしくてカッコいいなと思いました。ただ、ユーノくんの場合は、セリフがちょっと意味深だなって思うところがあって、たとえばなのはの初めての変身シーンで『成功だ』って言うんですけど、どう聴いても『最高だ』って言っているように聴こえてしまうのは何でかなみたいな。私はユーノくんを演じているときは、本当にユーノくんの気持ちになっているので、こう感じるのはなのはのことが好きだからです。決してよこしまな気持ちではありません。ユーノの愛は見守る愛なんです(笑)」

田村「なのはの見どころは、やはり新しくなった変身シーンですね。かなり長い尺で描かれています。変身シーンが絵的には見どころだと思います。シリーズ三作を通してきて、わりとなのはは達観した感じのキャラクターになっているのですが、この無印の1stでは、魔法を最初に手にして、右も左もわからないけど、とにかく一所懸命でまっすぐななのはが描かれているので、そのあたりも注目していただけたらいいなと思います」

水樹「全部が見どころなのですが、やはりラストに向けてのフェイトの決意、お母さんへの気持ちを消化しながら、新たに出会った本気で向かい合ってくれるなのはという存在にぶつかっていく姿だったりがどころになると思います。なのはとの戦闘シーンはぜひとも観ていただきたいですね。すごくかわいい9歳の女の子同士なのに、火力は多めでお届けしております (笑)。あと、なんといってもラストシーンがすごく好きです!そこはぜひ皆さんも一緒になって、幸せな気持ちになってもらえたらいいなと思います。絶対になのははユーノには渡しません(笑)」

桑谷「アルフには、唯一あのお母さんに食ってかかるというシーンがあるのですが、あのシーンはTVシリーズのときもすごくいいシーンだと思っていたので、劇場版で再度演じられたのは自分としてもうれしかったですね。今回の映画では、お母さんの気持ちがすごくしっかり描かれているんですよ。お母さんのシーンは全般的に悲しい背景があるので、見ていて胸を打たれました」

五十嵐「はっきり言って、プレシアが出ているところはすべてが見どころなのですが、その中でもやはり、鞭打つシーンですか。ちょっとあれは衝撃的だったので、見どころというと変なのですが、気持ちの持って行き場がそこになってしまったんだなって、激しく鞭打つんだけど、その裏にある悲しさなどが感じられるシーンだなって思います。あとは優しかったころのプレシアを見て、こんなころもあったんだってあらためて思っていただけると、どうして厳しい母親になっていたのかというところも、いろいろと考えていただけるのではないかなと思います」

久川「艦長としてのリンディ・ハラオウンとなのはやフェイトたちに接するときの優しい女性であるリンディという使い分けがあるのですが、やはり職場ではしっかり艦長をやっているんだなっていうのが、今回すごく感じられました。私個人的に見どころだと思ったのは、突入部隊の皆さんがめちゃめちゃ美形なところですね(笑)。第一期のころから感じていたのですが、アレックスもランディも、アースラの戦艦に乗っている人たちはみんな美少女、美少年なんですよ、私が面接をして、顔で選んだのかなって思うぐらい(笑)。裏的な見どころとして、アースラの戦艦のクルーたちにも注目してもらえるといいなと思います」

松岡「台本には漢字がいっぱい出てきて、とても難しいことを言っているのですが、それをあまり難しくないって思ってもらえるように喋れていたらいいなと思ってます。松岡由貴個人としては、ユーノくんさえ見ていれば幸せな感じですね。フェレットを飼っているので、なにかわが子のような気持ちになって、『あ、立ち上がった』『あ、走った』って、もうそれだけできゅん♡ みたいな(笑)。ひっくり返してこちょこちょしたいっていうたまらない気持ちを抑えつつ、条件反射のように『かわいい』って本番で言ってしまいそうになるのを一所懸命に我慢していました」

最後に、原作・脚本を手掛ける都築真紀氏と監督を務める草川啓造氏のメッセージもあわせて紹介しておこう。

都築真紀氏「『なのは』シリーズの一作目はとても小さく始まった作品なのですが、一作目からずっと付き合っていただいているキャストの皆さんやスタッフのみんなの力で、シリーズを重ねて、今回劇場という大きな舞台にまで来ることができました。もちろんファンの皆さんの支えがあってのことだと思っています。スタッフ一同頑張って、鋭意制作を進めておりますので、皆様どうかよろしくお願いします」

草川啓造氏「今回2時間を超える長尺となり、内容的にもかなり贅沢な作りになっております。TVシリーズでファンになっていただいた方も、新しく観ていただける方も楽しめるように作っておりますので、ぜひ多くの方に見ていただきたいなと思っております。よろしくお願いします」



『魔法少女リリカルなのは The MOVIE 1st』は2010年1月23日より全国ロードショー。公開劇場などの詳細については、公式サイトをチェックしてみて欲しい。なお、10月31日(土)には、劇場窓口にて全国共通特別鑑賞券の発売が開始する。価格は1,500円 (当日一般は1,800円)で、特典として「田村ゆかり&水樹奈々プリントサイン入りメタルポスター(A3サイズ)」が用意される。

■『魔法少女リリカルなのは The MOVIE 1st』おもなスタッフ
企画・製作 / NANOHA The MOVIE 1st PROJECT◆原作・脚本 / 都築真紀◆監督 / 草川啓造◆キャラクターデザイン / 奥田泰弘◆美術監督 / 片平真司◆色彩設計 / 田﨑智子◆撮影監督 / 中山敦史◆編集 / 関一彦◆音響監督 / 明田川仁◆主題歌・挿入歌 / 水樹奈々 (キングレコード)◆エンディングテーマ / 田村ゆかり (キングレコード)◆音楽 / 佐野広明◆アニメーション制作 / セブン・アークス◆配給 / アニプレックス

■『魔法少女リリカルなのは The MOVIE 1st』おもなキャスト
高町なのは / 田村ゆかり◆フェイト・テスタロッサ / 水樹奈々◆ユーノ・スクライア / 水橋かおり◆アルフ / 桑谷夏子◆クロノ・ハラオウン / 高橋美佳子◆プレシア・テスタロッサ / 五十嵐麗◆リニス / 浅野真澄◆リンディ・ハラオウン / 久川綾◆エイミィ・リミエッタ / 松岡由貴
(C) NANOHA The MOVIE 1st PROJECT