2009年4月よりテレビ大阪・テレビ東京系列にて放送されているTVアニメ『ジュエルペット』。そのオープニングテーマ「マジ? マジ! マジカル☆ジュエル」は、アイドルとして一時代を築き、いまだ根強い人気を誇る浅香唯が担当している。来年2010年にはデビュー25周年を迎える彼女にとっても新境地となる本作だが、アーティストとして、そして母として、どのように挑んだのか? そのあたりを中心に話を伺ってみた。

浅香唯が語る「マジ? マジ! マジカル☆ジュエル」

――TVアニメ『ジュエルペット』の主題歌を担当するという話を最初に聞いたときの感想を教えてください

浅香唯
1985年6月にシングル「夏少女」でデビュー。『スケバン刑事III ―少女忍法帖伝奇―』で主人公を務め、一躍トップアイドルに。「Believe Again」「C-Girl」「セシル」など、数多くのヒット曲を歌うほか、ドラマ、バラエティ、映画など幅広いフィールドで活躍する。2007年に長女を出産し、現在は一児の母

「『ジュエルペット』のキャラクターについては、お話をいただく前から知っていたのですが、とってもかわいらしいじゃないですか。なので、『本当に、私でいいのかな?』っていうのが最初の正直な感想ですね」

――ご自分には少し合わないと思われたのですか?

「実際に曲を聴いたときも、サビの部分などは本当にかわいらしいと思ったのですが、ただかわいいというよりも、かわいらしすぎるぐらいに思えたんですよ。なので、『私には歌えない』ということではなく、『私以外の方が歌ったほうがよいのではないか』という気持ちのほうが最初は強かったですね」

――最終的に主題歌を引き受けるポイントになったのはどのあたりですか?

「お話をいただいた方というのが、実は以前、ゲームの歌でもお世話になった方だったんですよ。そのゲームの中で歌った曲も、いわゆる"浅香唯"というイメージとはかけ離れた感じの、すごい作りこんだものだったんですね。なので今回のお話もその延長線上ということで、今までの私も入りつつ、またちょっとちがった私をお見せできるのではないかと思いまして、引き受けさせていただくことにしました」

――歌を通して新しい自分を演じるというところでしょうか?

「そうですね。あと、子どもができてからは、本当に子どものためになりふり構わずというところがありまして、子どもを喜ばせるためなら、人目を気にせずに歌ったり踊ったりしていたんですよ(笑)。そういう意味で、この歌を通して子どもたちが喜んでくれるのであれば、それはそれでうれしいことだなっていうのもありました。なので、今回のお話は、私に子どもがいなかったら考えられなかったことかもしれませんね」

――実際に歌ってみて、周りの反響はいかがですか?

「最初は、『無理したね』っていう感じでとらえられちゃうのかなって思っていたのですが、意外とすんなり受け入れてもらえましたね。特に小さい子どもを持つお母さん方からはすごく褒めていただいたりもしたので、本当に歌ってよかったなって思っています。あとビックリしたのは、うちの子どもの反応なんですよ。曲が流れ出すと、ものすごくノリノリになって、ぐずっていても泣き止んだりするんですね。私が歌っているということがわかっているのかどうかもわからないのですが(笑)。そういう意味ではビックリしました」

――レコーディングをする際に苦労した点などはありますか?

「私ももう今年で40歳なんですよ。だから、そのテンションでスタジオに入ると、とてもじゃないけどついていけないだろうなと思っていたので(笑)、気持ちの持っていき方という点には注意しました。なので、スタジオで事前にウォーミングアップをして気持ちを引き上げてからレコーディングに挑んだのですが、最初はやはり久しぶりということもあって、すこし緊張しました(笑)。ただ、曲がすごく私をリラックスさせてくれて、自然と楽しい気持ちでレコーディングに臨むことができたと思います」

――こういう曲調の歌を歌うのはかなり久しぶりではないですか?

「そうですね。15、16歳のころに出したアルバムの中には絶対1曲は入っていたような感じの曲だったので、とても懐かしいという感じもしましたし、そういう意味では、自分の中にまったくないものではなかったですね」

――実際に歌ってみた感想はいかがでしたか?

「聴くと歌うは大違いで(笑)、歌ってみるとものすごく難しい曲だったんですよ。なので、そのあたりにはすごく手こずりましたが、歌うこと自体はとても楽しかったです。ただ、レコーディングだとどうしても、"リズム"や"ピッチ"などいろいろなことを考えなければならないのですが、本来この歌はそういうところを気にして歌う曲ではないと思うんですよ。いかに楽しく、そして派手に歌えるかというところがポイントになる曲だと思っています」

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