――先ほどの『科学忍者隊ガッチャマン』のタイトルロゴのお話ですが、実際にオンエアされたものの前に、ガラスを使ってロゴを割る撮影を試みられたそうですね。それを逆転映写すれば、割れた破片が集まってタイトルロゴになるカットができると。

「あの当時、いろんな映像にチャレンジしようってことでね。タイトルロゴをガラスに描いて、私、大学時代にライフル持ってたんで、撃ったんです。でも、貫通しちゃうんですよね」

――うまく割れなかった……。

「ええ。それで、それはだめになったんです。石も投げてみたんですけど、それだと石も映っちゃう」

――当時のタツノコさんは、そういった新しい映像的な試みをいろいろなさってらしたんですね。『科学忍者隊ガッチャマン』の第1話「ガッチャマン対タートル・キング」のクライマックスシーン、鉄獣メカ・タートルキングの爆発シーンにも、実写映像が使われてました。

「特に、タツノコっていうのは、ひとつの社屋に全部のセクションがあったので、学校みたいなとこでしたね。誰かがこういうことやりたいって言ったら、みんなおもしろがって、のっていけるような環境だったんで」

――『科学忍者隊ガッチャマン』の第59話「怪獣メカ工場の秘密」には、ギャラクターで鉄獣メカを開発しているオガワラー博士と、その助手でナカモーラというキャラクターが登場しますが……(ちなみに、大河原さんの読みは、「おおがわら」ではなく「おおかわら」)。

「中村さんは『ガッチャマン』の最初の数話おやりになって、あのころになると、ほとんどメカは僕がやってたんで、博士と助手で(実際の上司と部下とは)立場が逆転してるっていう……」

――当時、タバコのパイプを作って九里さんにプレゼントしたり、帆船の模型をやはり九里さんに譲ったりなさったとか……。

「あのころは、私が物作り好きっていうのもあって、帆船作ったりしてて。中村さんも物作るのは好きな方で、そういうの作ってても中村さん文句言わないし、逆にのってくるような人だったんで。パイプは、中村さんがデザインしたものを私が彫って。あと、笹川さん(演出家の笹川ひろしさん)の新居が完成したときに、グズラの噴水が欲しいというので、中村さんと笹川さんが粘土でグズラの形を作って、それを私が石膏取りしてFRPに置き換えて中の配管して、据え付けたっていう。いろんなこと、やってましたね」

――そういう和気あいあいとした中で、みんなでお酒を飲みに行かれたりしたこともありましたか?

「ありましたけど、中村さん、酒飲まないから。忘年会とか行くと最後、やはり美術部の同僚と私の2人、車で送り届けてくれるのが中村さんでしたね。私は酒飲むの大好きですから、飲んだら帰って来られないので(笑)」

――その中村さんから、『タイムボカン』のときに、主役メカの一つ、ヤゴマリンをやらないかと言われたそうですね。

「そうですね。僕はそれまでギャグものってやったことがなかったんですけど、中村さんが、"これいじってみない"とか仕事を振ってくれるんで、それなりに楽しんでやってましたね」

――吉田竜夫さんとは……。

「鷹の台に寿司屋があるんですよ。吉田竜夫さんが寿司喰いに行こう、って。天野さん(当時、キャラクターデザイン室に所属していた天野喜孝氏)と私を連れて行ってくれたことはありますよ。『科学忍者隊ガッチャマン』の評判が良くてね」

――その後、中村さんとともに『破裏拳ポリマー』や『宇宙の騎士テッカマン』も手がけられ、タツノコプロでの生活が5年ほど続いたと。

「4年目に『ゴーダム』を全部やらせてもらったときには、もう、非常勤だったんですよ」

――『ゴワッパー5 ゴーダム』が、初めてメインメカも担当なさったシリーズ……。

「そうです」