毎年春・夏の2回、"女子球児の甲子園"こと「全国高等学校女子硬式野球選抜大会」が関西(兵庫県丹波市)で開催されていることをご存知だろうか? 2008年に関西独立リーグで史上初の女子プロ野球選手(吉田えり投手)が誕生し、話題となったが、女子硬式野球はメジャーとはいえないだろう。その証拠に3月に第10回目が開催された同大会の出場校は、関東4校、九州1校と、関西地区のクラブチーム等からの選手が集まった「丹波連合」の計6チームと少なく、2009年3月時点での全国の高校女子硬式野球部の数は、大会に出場している高校5校のみだ。

女子硬式野球部を発足した福知山成美高等学校

しかし2009年4月、ついに関西で第1校目となる高校女子硬式野球部が誕生し、13日に練習を開始した。女子硬式野球部を発足したのは、京都府福知山市にある私立福知山成美高等学校。同校は、春・夏の甲子園に計4度の出場経験がある関西の強豪男子野球部を持つ。女子野球部のユニフォームは、男子野球部と同じデザインとなることが決まっており、今後、男子・女子ともに、同じユニフォームで、それぞれの「甲子園」、そして、高校日本一を目指すことになる。

同部創設のきっかけは、同校を運営する学校法人「成美学苑」の理事長 角谷建耀知氏。「女の子が野球を続けていける環境を作りたい」と、同校での女子硬式野球部創設を提案し、発足に至ったのだという。

監督は、2008年夏の第3回女子野球ワールドカップで優勝した日本代表チームのキャプテンを務めた長野恵利子氏。「まだ世間的にメジャーとはいえない女子野球だが、そんな中で、活躍し輝いている、女子生徒の目標となるような人にお願いしたい」との想いから、同校が長野氏に依頼したところ、快諾してもらえたとしている。「『野球をやりたい』という女の子達が、自由に表舞台に立って試合が出来る環境、女の子が目いっぱいグランドで白球を追いかけることの出来る舞台を作って行きたいと思っています」(同氏)。

現在、部員は、これまで硬式野球のクラブチームに所属していたという同校の新入生1名、同部に入るために他校から同校に編入してきたという2年生1名、同校と同じ学園グループの運営する女子高の新入生と2年生の2名の、計4名。創部の決定から発足までの期間が短かったこともあり、まだまだ部員は少ないが、今後精力的に部員を募集し、夏から来年ごろには試合なども行えるようにしていきたいとしている。