自分なりに作品がドラマ化される意義を考える
筒井康隆の同名人気SF小説を連続ドラマ化した『七瀬ふたたび』のDVD-BOXが発売された。このドラマで、自分の超能力のため、社会に馴染めずに苦悩するヒロイン・七瀬を演じたのが、女優の蓮佛美沙子。映画『バッテリー』(2007年)や『転校生 さよならあした』(2007)など、様々な作品でヒロインとして印象深い姿を見せてくれる蓮佛に話を訊いた。
――蓮佛さんにとって連続ドラマ初主演作品となる『七瀬ふたたび』のDVDがリリースされました。
蓮佛美沙子(以下、蓮佛)「この作品の撮影はちょうど1年ぐらい前なんですけど、3カ月皆で頑張って作り上げた作品がDVD-BOXという具体的な形になったのを見ると、やっぱり感慨深いですね」
――初めての連続ドラマを終えてみて、どんな感想をお持ちですか?
蓮佛「自分の中で最初はわからなかった役柄の深い感情の部分などが、撮影が進むにつれ、だんだんと理解できるようになっていくのが、自分の中で感じられました。それが連ドラの面白い部分なんだろうなと思いました。また、スタッフのみなさんとの結束力も感じられて、濃い時間を過ごすことが出来たと思います」
――『七瀬ふたたび』という作品は、これまでに何度もドラマ化されていますし、原作が発売されたのも、かなり昔です。そんな作品を再び蓮佛さんが演じるという部分に関して、どんなお気持ちでしたか?
蓮佛「原作の七瀬は自分の特殊な能力を受け入れていて、孤独感とか暗い部分も描かれていたのですが、今回のドラマ版では、七瀬がなにも知らない部分から始まるという設定ですし、私の中では原作や過去のドラマとは、また違う作品として捉えて演じました。また、このお話を、あえて現代でドラマ化する意味を考えると、他人同士が分かり合えていない現代という時代に、他人の声が聞こえすぎてしまうという設定の人物が登場するドラマを観ることで、相手を理解しようという意識が生まれたらいいなという思いを込めてこのドラマが作られたのではないかと、自分なりに考えて演じました」
七瀬ふたたび
テレパス(精神感応能力)を持つ主人公・火田七瀬は、様々な未知能力を持つ仲間たちと出会いながら、自分たちのアイデンティティを探し悩み続ける。そんな七瀬たちの前には、謎の組織や、七瀬たちと対立する未知能力者たちが現れるのだった |
――まだ未見の方に、この作品の見所をお願いします。
蓮佛「原作や過去のドラマを観ている人でも、新しい気持ちで楽しめるドラマだと思います。他人の心が読めるとか、物を念力で動かす描写とか、映像的に面白い部分も沢山ありますし、私自身も『普通』って何なのかと、演じながら深く考えました。人の心が読めるという部分を怖いというよりも、足が速いみたいな個人の能力のひとつのように思ったんです。普通って一概に言えないなという部分を、このドラマで皆さんに伝えられたら嬉しいと思って演じました」