新年度が始まって1週間あまり。新年度から法律や条令が施行され、新たに加わった制度や暮らしに関わる変更点も多い。そこで今回は、生活関連で2009年度に変わるおもな項目とそのポイントをまとめてみる。

医薬品販売制度の変更

6月1日の「改正薬事法」の施行により、"OTC医薬品"と呼ばれる一般市販薬の販売制度が大きく変わる。新制度では、市販薬をリスクの程度に応じて第1類から第3類まで分類され、区分に従って店頭での販売が規制される。具体的には、第1類、第2類医薬品にあたる製品は原則として薬剤師が常駐する店舗や薬局での対面販売に限られ、ネットなどによる通信販売が不可能となる。第1類、第2類に該当する医薬品としては、去痰薬、H2ブロッカー(胃痛、胸やけ等に効く薬)、第二世代抗ヒスタミン薬といった風邪薬成分として一般的なものから口唇ヘルペス治療薬や膣カンジダ症治療薬、発毛剤といった店頭での購入が憚られるものが含まれており、6月からはこれらを通信販売で気軽に買うことができなくなる。

失業保険の給付要件の緩和・拡大

3月31日に施行された「改正雇用保険法」により、失業保険の給付資格の要件が緩和された。これまで受給には1年以上の保険加入が義務とされていたが、これが6カ月以上に短縮される。また、会社都合で退職を余儀なくされ、再就職が困難だと公共職業安定所長が認めた場合は、給付日数が最大60日間延長される。例えば、支給日数が90日の場合では60日延長の150日間、被保険者であった期間が通算して20年以上かつ所定給付日数が270日または330日の場合はそれぞれ30日延長となる。

後期高齢者医療制度(長寿医療制度)の徴収方法が変更

2008年度から始まった、75歳以上を対象とした医療保険制度「後期高齢者医療制度」の保険料の方法が2009年度から変更された。前年度までは、年金からの天引きが原則だったが、国民健康保険の保険税を確実に納付していた人が希望する場合は、本人または配偶者の口座から自動引き落としでの納付が可能になる。

出産・育児資金の助成

出産時に公的医療保険から支給される「出産育児一時金」が今年1月から35万円が38万円に引き上げられ、さらに10月1日からは緊急少子化対策として38万円から42万円へ、4万円引き上げられる(2011年3月31日までの限定措置)。支払い方法は原則、医療機関に直接支払われる仕組みに改められ、当事者が前もって高額の出産費用を用意する必要がなくなる。また、2009年度のみの実施策として、2002年4月2日~2005年4月1日生まれの第2子以降の子を対象に一人あたり3万6,000円を支給する「子育て応援特別手当」が給付される。