加害者少年の母親・野口さつき役の稲森いずみ。「さつきはよき母親、よき妻を目指す真面目な女性。様々な問題に直面しますが、『母は強し』というところを見てもらえたら」

伊藤実原作のコミックをドラマ化した『アイシテル ~海容~』が、日本テレビ系で4月15日よりスタート。これに先立ち、2日に東京・汐留の同局で記者会見が行われ、主演の稲森いずみ、板谷由夏、山本太郎、佐野史郎らが出席した。

このドラマでは、少年による殺人事件をきっかけに、加害者・被害者両家族の苦しみが描かれる。加害者となる少年の母親を演じた稲森は、「私にとって未知の世界だけど、この役を通して『母親とは?』『家族とは?』を皆さんと一緒に考えていけたらと思います」と挨拶した。重いテーマを扱うだけに出演者のプレッシャーも大きいようで、加害者少年の父親役の山本は、「昨晩もスタジオで、4時間ほど奥さん役の稲森さんともめていました。毎日すり減っております……」。

山本太郎は自らの役について、「仕事一筋で家庭を顧みないし、事件の後も、『それは普通言わんやろ!』という発言ばかり。放送されたら間違いなく石を投げられると思います(笑)」

さつき(稲森)、和彦(山本)夫婦の長男を演じる嘉数一星

被害者家族を演じる板谷と佐野も、重苦しい雰囲気の中での撮影となっている様子。「1日に1.5kg痩せた日もありました」と話す板谷に、「あれだけ(演技で)泣いたのだから、痩せますよね」と佐野もコメントした。ちなみに2人には意外な共通点が。「じつは私も佐野さんも、結婚式の場所が同じ出雲大社なんですよ。そこから急速に(劇中の)夫婦の絆が深まったような気がします」(板谷)、「出雲の神様の話とか、好きな神社の話で盛り上がるんですよ。共通の話題が神社って、なんだか最初から導かれているみたいですよね(笑)」(佐野)。撮影現場でのエピソードが語られると、会場の報道陣からも笑いが起きた。

出産後、初のドラマ出演となる板谷由夏。「原作を読んで涙が止まりませんでした。子育てしながらの仕事は大変だけど、この役はぜひ演じたいと思って、一歩踏み出しました」

被害者の父親・小沢秀昭役の佐野史郎。「(劇中の)わが家も、なかなか辛いことになっておりまして……」と話すと、山本から「申し訳ございません……」とお詫びが入る一幕も

一方、山本は「板谷さんと佐野さんが演じる夫婦はラブラブな雰囲気だけど、こっちは少しズレがあって、その距離感が難しいですね」と話し、稲森からも、「私たち夫婦と息子との間にも距離ができているので、どうすればいいのか……」との発言が。加害者家族を演じることの難しさをうかがわせた。

そんな2人も、撮影中は長男役の嘉数一星とコミュニケーションを図るなど、和やかな雰囲気で進んでいるそう。「ドラマを通じて、結婚や子供に対する感情が湧き上がってきたのでは?」と報道陣に尋ねられた稲森は、「子供と一緒にいてこんなに癒されるのだから、アリだと思いますね」とコメント。すかさず「年内のご予定は?」と聞かれてしまい、彼女は苦笑いを浮かべながら、「年内はないです」。それでも「来年以降は……」と食い下がる報道陣に、「いまのところはないですね」とやんわり否定していた。

川島海荷は聖子(板谷)、秀昭(佐野)夫婦の長女・美帆子役

美帆子の弟で、事件の被害者となる少年を演じた佐藤詩音

『アイシテル ~海容~』は、4月15日(水)夜10:00より日本テレビ系列で放送(初回は15分拡大)。なお、主題歌はMONKEY MAJIKの「アイシテル」、挿入歌には新垣結衣の「うつし絵」が使用される。

ドラマのサブタイトル「海容」は、「海のように広い心で、人のあやまちを受け入れること」という意味。加害者・被害者両家族がいかにして現実を受け入れるのか? というのも見所の1つ