今度はクラブフロアの客室の紹介をしよう。クラブフロアの客室はツイン、ダブル、そしてスイート(6タイプ)の合計198室。従来は32階から35階までの4階分をクラブフロアとしていたが、今回の改装で28階から31階もクラブフロアとなり、客室数は以前の2倍以上となった。中でもダブルルームが143室と大半を占めており、外国人の利用が多いということもあり、実際にはビジネス客がダブルルームを1名で利用するというケースが多いという。今回の取材でもダブルルームを利用した。

客室内は和×モダン

内装は日本の伝統色である赤・黒・金・銀・紺の5色でコーディネートされている。黒の鏡面仕上げなど日本的な手法を取り入れながらも、全体としてはモダンな印象に仕上げられており、伝統と新しさの両方を感じさせるインテリアとなっている。また、クローゼットやローチェストなどには、古くは日本家具によく使われたという栓(せん)と呼ばれる木材が用いられており、モダンな部屋の中にあってどこか懐かしさを感じさせるものとなっている。

客室「クラブ インターコンチネンタル ダブル」(28平米)

ホテルのハイクラスルームというと細かな装飾などをちりばめた豪奢な印象を持たれるかもしれないが、このクラブフロアは全く逆で、余分なものをそぎ落としたシンプルさによって高級感を演出している。特にビジネスでの利用では、ホテルは日中の仕事を終えてから戻ってくる場所であり、リラックスした気分で滞在できることが重要なので、この落ち着いた内装はありがたい。

家具類には栓の木材や黒の鏡面仕上げなど、和を感じさせる素材や仕上げを採用

落ちついた印象の室内。ソファなど調度品は部屋のサイズにあわせてしつらえたもので、部屋の形状を最大限まで活用している

かつて陳列棚に並べられることの多かった飲み物やスナックは引き出しの中に収められている。室内をすっきりと見せるための工夫だ

インターコンチネンタルホテルとなってからも、ANA便内で楽しめる「とびっきりおうどん」は健在だ

また、滞在中の仕事場となるライティングテーブルも、ノートパソコンに加え書類などを広げても十分な余裕のある大きさで使いやすい。天板は他の家具にも使われている黒の鏡面仕上げだが、パソコンを置いたり筆記用具を使ったりする中央部分には硬質ゴムのような素材が用いられており、置いた物が滑ることはなく机のキズを気にする必要もない。もちろんパソコン用の電源とLANポートが用意されており、インターネットアクセスも無料で利用できる。

パソコンや資料を広げても十分な幅のあるライティングテーブル

ライティングテーブルの一角にはLANポートがあり、無料でインターネット接続が利用できる。安定して10Mbps以上の速度が得られ快適だった

テレビは37型液晶と大きな画面で、向かいのベッドに寝ころんだ状態でも見やすい。テレビのすぐ横には「メディア・ハブ」と呼ばれる接続ボックスが置かれており、ビデオ(コンポジットまたはS端子)、PC(アナログRGB)、HDMI入力をテレビに映し出すことができる。そのため、ビデオ出力機能のあるデジカメやビデオカメラで日中撮った映像を再生したり、翌日のプレゼンの予行演習をしたりと、面白い活用の方法が考えられる。また、ベッドサイドにはiPodのDockコネクタに対応したラジオが設置されている。普段聴いているお気に入りの曲をヘッドフォンでなくスピーカーで楽しめるので、まるで自室のようにリラックスしてしまいそうだ。

全室に37型液晶テレビと、映像入力ボックスの「メディア・ハブ」を設置

iPodのDockコネクタに対応したスピーカーが用意されているので、お気に入りの曲を部屋のBGMにできる。iPhoneでその場でダウンロードしたPodcastを聞くこともできた

バスルームも拡張

クラブフロアへの改装でバスルームの拡張が行われたが、あわせてベッドルームとの間の壁の一部をガラス張りとしたことで、ベッドルームとバスルームの間に一体感が生まれ、それぞれの部屋がより広く感じられるようになっている。

バスルームにはシャワーブースがあるので、日本式風呂でいう"洗い場"のように使えるため、「どうもホテルの洋式のお風呂は苦手で」という人にも利用しやすいだろう(なお、客室によって部屋の形が異なるため、バスルームの構造等は各客室に応じる)。また、バスタブの横の壁面には液晶テレビが備え付けられている。忙しい出張のさなかだと、ホテルでゆっくりテレビを見ている時間もないということもあるだろうが、これなら湯船に浸かるリラックスタイムを兼ねて視聴できる。

ベッドルームとバスルームの間をガラス張りとしたことで、より開放感や広がりを感じられる室内となった

シャワーだけでも、洗い場のようにも使えるシャワーブース。左側のガラス扉から、バスタブ側からのどちらからでも入ることができる

そのほか、クローゼット内にはアイロンとアイロン台が用意されており、衣類のシワ取りや、ちょっとした汚れを洗ったときの乾燥なども使えそうだ。もちろん有料だがクリーニングやプレスのサービスを利用することもできる。また、靴磨きのサービスは無料。仕上がりの時間も指定できるので、就寝前に出して翌朝の朝食前に戻してもらえば、替えの靴がなくても心配することなく磨きに出せる。