NHK総合のバラエティー番組『爆笑オンエアバトル』(毎週木曜 24:40~25:09)の「第11回チャンピオン大会~ファイナル~」が19日、放送され、トータルテンボスが第11代チャンピオンに輝き、2連覇を達成した。

『M-1グランプリ2007』では優勝候補の一角として期待されながら、突然現れたサンドウィッチマンに栄冠をさらわれたトータルテンボス。昨年、第10代チャンピオンに輝いた時は、悔しさをバネに絶対に優勝をとってやろうという強い意志で挑んだ。念願が叶ってチャンピオンとなった前大会終了後、感激で涙を浮かべながら、喜びを語っていた2人。だが、今大会終了後は、昨年の感極まった喜びとは違う、落ち着いた様子で喜びをかみ締めていた。

2連覇を達成したトータルテンボスの藤田憲右(左)と大村朋宏

昨年の優勝と今回の優勝は違う

「ヤッター! っていう気持ちですね」と喜びを表現する藤田憲右。「去年は綿密に長い時間をかけてチャンピオンをとりにいったんで思い入れもあった。今回はチャンピオンとして恥じないネタをやればいいっていう感じだったんで、ほっとしたっていうのが一番ですね」。一方、大村朋宏は「去年は、『M-1』を取り逃がしたっていうのもあって『オレらはナンバー1にはなれないんだろうな』っていう劣等感があったけど、(チャンピオンになって)『とれるんだ!』ってびっくりしちゃった。1年間、色んな番組にも出させていただいて、自信もつけてきたし、負けちゃいけないっていうプレッシャーもあったから、素直に嬉しい。"ヤッター"って!」。藤田も「ほんとヤッターだな」と再度喜びを分かち合った。

「去年のファイナルの映像を何回も見てイメージしてきました。面白い芸人が次々に出てきて恐ろしい番組だと思う。この一年、恐くて番組を一度も見てません」と明かす大村

また、年明けから作ったというネタにはプレッシャーがあったという。「優勝に値するネタが作れるのかっていう不安があった。ネタ作りをずっと後回しにして逃げてきた。そのネタが、一番いいできで今日できたっていうことにほっとしてますね」(大村)。二連覇を達成できた勝因については「本番に、うちらの持ってるノリがすごく出た。ネタ合わせのデキも一番いいし、掛け合いも普段よりもいい形になってた。ネタが今日になってもう一段上のネタになったなって思いましたね」(藤田)、「二人のできも良かったですし、終わった後は、負けてもいいと思いました」(大村)と、プレッシャーを乗り越え、最高の出来栄えを披露した。

出場者たちを悩ませた抽選のネタ順

大会には、10代目チャンピオンとしてシード権を得たトータルテンボスを含め、全11組が参加。セミファイナルで1000キロバトル超という高成績を残したチームが4組参加し、特にAチーム一位通過のパンクブーブーや、Bチーム一位通過の超新塾と、昨年度チャンピオンのトータルテンボスとの決戦が見どころだった。オープニングに抽選で決められたネタ順では、トータルテンボスが3番、パンクブーブーが後半8番、超新塾がラストの11番となるなど、波乱の幕開けとなり、結果、激闘の今大会を制したのは、昨年と引き続き2連覇を達成したトータルテンボスだった。

ギャロップ。髪の薄い林が客席を見渡して「みんな生えすぎちゃう?」と、お決まりのボケで会場を笑わせ、トップバッターとしてテンションを上げていく

超新塾。登場時には会場から大きな手拍子が。5人が一列に整列し、並んだ番号でボケ・ツッコミを繰り返すコントを展開

一番のくじを引いたのは、今月「第39回NHK上方漫才コンテスト」で最優秀賞に選ばれたギャロップ。「トップバッターなんで盛り上がっていきましょ!」と気合を入れて挑んだ二人は快調に漫才を繰り広げた。だが、観客の反応は今ひとつついてこない。ネタが終わると、林健は「誰かが引く番号なんで」と割り切るものの、「ヒキが強いと思ってたけど、まさか今日、"1番"を引くなんて…」と、一番という順番に観客がノリきれなかった悔しさを語った。

タイムマシーン3号。5年連続ファイナル進出の二人の登場に、客席から歓声が上がる。本番ギリギリまでネタ合わせをしたという「妹ネタ」を披露

流れ星。「焼き鳥」ネタの漫才を。ちゅうえいは、二日前にお願いして出来上がったばかりだというトレードマークの猫のTシャツ姿で登場

一方、そんなネタ順を跳ね飛ばしたのがトータルテンボスだ。3番という早い順番。しかも、観客にまだ心積もりのできない中での登場だった。だが、「3番目と早かったので恐いと思った。運がなかったかなって思った」という大村の不安をよそに、二人が登場すると、会場からは大歓声が起こる。その歓声に励まされるかのように、二人は絶妙なテンポでネタを展開し、チャンピオンらしい堂々とした漫才を披露。ネタ終了後、多くの観客が投票する姿を目にした二人の頭に、「優勝」の文字がよぎった。

そんなトータルテンボスが優勝を確信できないのは、強豪揃いの出場者の顔ぶれと、セミファイナル1位通過の超新塾がラストを飾るネタ順にあったと思う。超新塾は、今期年間ランキング1位という快挙を達成し、人気も高い。だが、超新塾の意気込みと期待とは裏腹に、結果、超新塾は3位に終わった。福田善計は、「『今日優勝するしかないでしょ!』って思ってたけど、(客の反応を)見たら分かりました(笑)。今日が一番完成度の高いネタやったから、もうちょっと(票が)入るかなと思ってた」と苦笑い。また、練習のしすぎで声が出ないと明かすツッコミ担当の溝上洋次は「大会の前に病院に行ったけど、土曜日なので診てもらえなかった。ちゃんと声が出るか不安だった」と、万全の態勢で挑めなかった後悔が残った。

パンクブーブー。「陶芸」ネタで漫才を披露。緊張して挑んだという二人だが、会場からは大きな拍手が起こっていた

ななめ45°。バイク事故で入院した先輩2人を見舞う後輩のコントを。「緊張とか通り越して朝から体が熱い」と感想を

タカトシさんを超えたい

2連覇を達成し、タカアンドトシの2連覇の記録と並んだトータルテンボス。来年は?「今回、連覇はいければいいなって感じだったんですが、3つ目はとりたいですね!」と、語気が強くなる藤田。「前人未到っていいですよね。タカトシさんを超えたいですから」(藤田)。大村も「ネタの目標が常にあって、作らなきゃいけない状況にあるっていうのは刺激になりますね!」と語り、藤田は「世の中で"ネタ"はもっと評価されるべき。ネタを見るのが一番おもろいと思う」とうなずいた。

チャンピオン決定の瞬間。イタリアンレストランの店員と客の漫才を披露したトータルテンボスはネタ終了後に「優勝はあります!」と自信をのぞかせていた

一方、注目しているのは今大会でも競い合った「パンクブーブー」だという。出演する「ルミネ」の立ち上げ時から一緒に切磋琢磨してきたといい、「劇場見てても、やっぱり面白い。もし僕らが負けるんだったら"パンク~"だったら仕方ないかなと思いますね」(藤田)。「僕も同じですね。"パンク~"とか"流れ星"とか。今回もちょっと恐かったです。負けたくないですね!」(大村)と、早くも来年に向けて闘志を燃やしている。