3月22日に開催が予定されている「東京マラソン2009」。同大会の開催に合わせて今年も数多くの関連イベントが行われている。17日、同大会を記念して、東京新聞によるシンポジウムが開かれ、"走って人生を豊かに"をテーマとした基調講演とパネルディスカッションが行われた。

市民ランナーたちが多数参加したシンポジウム。7.5倍の狭き出場権を手にして東京マラソンに出場するという人の姿も

「今年の東京マラソンの出場者の倍率は7.5倍。そこらの大学入試より難関だ」と挨拶する東京新聞の小池宣昭氏

シンポジウム開催にあたり、主催者を代表して東京新聞の小出宣昭氏が挨拶。「今年の東京マラソンには27万人の応募があり、競争率は7.5倍」と、年々増加するマラソン人気の実態を明かした。また「現代は途中のプロセスを省略するデジタル文化が主流。一方、アナログ文化はゴールに到達するまでの過程で見聞きしたものから、"才"を得ることができる。そこにこそマラソンの醍醐味がある」と、マラソンに対する独自の理論を語った。

続く第一部では、1991年の東京国際女子マラソンで優勝し、トップランナー入りを果たし、いまも現役ランナーとして数々の大会への出場やスポーツ振興活動で活躍する谷川真理氏が祭壇。自らのランナー人生やマラソンの醍醐味などを語った。

「忍耐は苦しいけれどもそ実は甘い」と自らのモットーを語る谷川真理氏

東京マラソンでは、ゴールまでの制限時間を7時間と設定している。谷川氏曰く、昨今の東京マラソンの人気は「誰でも練習すれば完走できる時間設定」にあると分析する。さらに「"TOKYO"という世界の大都市がランナーのために開放され、いつもと違った景色を味わうことができる」と、体験者でなければわからない魅力を語った。

24歳でマラソンを始め、以降東京国際女子マラソンをはじめ、数々の大会で入賞経験を持つ谷川氏。そのきっかけについて「皇居でお花見をしていたら走っている人が大勢いて、自分も走ってみようかなぁと思ったのが始まり。それで、優勝するとシドニーマラソンに連れて行ってもらえる都民マラソン目指して頑張った」と意外なエピソードを明かし、「"走る"という同じ行為でも、自分自身が目標を持つことで走り続けることができる」と、マラソンを続ける秘訣を語った。また、速く走るポイントを「体重移動をいかに速くするか。みぞおちのすぐ下に足の付け根があるというイメージで骨盤から足を出すとすばやく動ける」とアドバイスした。

速く走るコツを自ら実践して指南する谷川氏

第二部では、東京新聞でスポーツ担当の論説委員を務める佐藤次郎氏をモデレーターに、谷川真理氏の他、東京マラソン事務総長の佐々木秀幸氏ら東京マラソンに縁の深い3名を加えたパネルディスカッションが行われた。各人がマラソンで得られた喜びや人生への影響などを語り合うシンポジウムとなった。