2008年末に行ったニコニコ動画のひろゆき氏、夏野氏へのインタビューの後編。前編(2009年1月1日掲載)よりはちょっと真面目に、2008年12月の「ββ(ダブルベータ)」で投入された新サービスの意図や、ニコニコ動画の将来の発展性について聞いてみた。

次の目標は2,000万、ニコ動文化は今後も生かす


――ニコニコ動画の会員数は1,000万を突破しましたが、夏野さんとしてはこの先どこまで伸ばそうと考えているのでしょう。

夏野 2,000万です。ひろゆきは2,000万なんかいかないって言ってますけど(笑)。1,000万いったら次は2,000万かなと。2,000万より上は、そこまでいったら考えます。

――既に獲得した1,000万人の会員と、これから新たに獲得したい1,000万人の会員は、ユーザー層としてはどういう違いがありますか。

夏野 これからの新しい会員は、これまでのユーザー層より動画を自分で投稿する率は低くなるでしょう。ユーザーインタフェースもよりわかりやすくしないと、今後のユーザーにはなかなか使いこなしてもらえないと思います。とにかく、ニコニコ動画を楽しめるはずなのに今まで見たことがないという人は、まだまだ潜在的にたくさんいると思うので、その層に向けてサービスを拡充していきたいと思っています。

昨年師走の某日、ニワンゴ取締役 西村博之氏(左)とドワンゴ 取締役エバンジェリスト 夏野剛氏に話を伺った。「ニコニコ動画」の今後は? 収益は?

今回、公式動画の見せ方を「ニコニコチャンネル」という形に変えたことで、今まで「ニコニコ動画って動画投稿サイトなのかな?」と思っていた人のイメージが、ガラッと変わっていると思います。従来投稿動画を楽しんでいたユーザー以外の人が「ちょっとニコニコ動画見てみようか」と思い始めていらっしゃるみたいなので、確実に裾野は広がっていると思います。

――ニコニコ動画では、実態はともかくイメージとして「オタク層の憩いの場」的な雰囲気が醸成されていた部分があり、アニメとかゲームとかに関係した動画がやはり人気です。既存ユーザーにとっては、その独特の雰囲気や文化が魅力でもある。しかし、今後獲得したい新規ユーザー層がこの世界を見たとき、やっぱり「引いてしまう」こともあるのではないでしょうか。

ひろゆき YouTubeの動画を見る人にも、YouTubeというサービス自体にはまったく興味を持たず、ただ動画を見ているだけという人は多いじゃないですか。ニコニコ動画の新規ユーザーも、従来の「ニコニコ動画大好き」という人と同じ文化を持つ必要はないし、ニコニコ動画をコミュニティとして使わなくてもいいわけです。例えば、スポーツ好きの人がスポーツのブログをやっていて、そこにニコ動の動画を貼り付けたら、見る人はニコニコ動画の文化が好きなわけではなく、そのブログの書き手やスポーツが好きだから動画を見たいと思っているわけで。

逆に、ただの動画サイトだと思って使っていた人が、面白いコメントやコメントアートのようなものにハマって、ニコ動文化を好きになるという可能性もありますし。今の段階では、積極的にニコ動文化を伝えたほうがいいのかそうでないのかはわからないので、両方の方向性で入り口を作ってみて、試しているという感じでもあるんですけどね。

夏野 大丈夫ですよ。iモードの公式サイトと同じで、すごく使いこなしている人は「iメニュー」を使わずブックマークとかで直接自分の好きなサイトをガンガン使ってますけど、そうじゃない人はiメニューからたどっている。ニコニコ動画もあくまでプラットフォームなので、見え方は使う人によって違うということです。