そもそも株券電子化って何? 

最近、何かと話題にのぼっているのが、「株券電子化」。新聞やテレビCMなどのメディアで見聞きしたことのある人も多いはず。でも、イマイチよく分かっていないという人のために、もう一度要点を整理してみましょう。

株券電子化とは、紙に印刷された株券を廃止して、証券保管振替機構(通称・ほふり、以下ほふり)および証券会社等の金融機関に開設された口座で、株式情報をデータ管理するものです。いちばんのポイントは、電子化実行後は、「紙の株券」が無効となること。要するに所定の手続きをしなければ、株券が名実ともに、「紙切れ」になってしまうのです。2009年以降、電子化された株券は、証券会社の口座を通じ、ほふりのコンピューターを経由して、管理されるようになります。

親族の「タンス株」をもう一度確認!

ここまで読んで、「株はもっていないから自分は関係ない」というのは大きな間違いです。日本証券業協会によると、2008年3月末現在で、自宅や貸金庫などで保管している「タンス株」はなんと130億株にものぼるといわれています。こうしたタンス株の保有者の多くは高齢者ともいわれており、最近の金融情報にうとく、株券を保有していることも忘れているケースも多いそう。そのため、離れて暮らしている祖父母や両親、親族に、「タンス株を持っていないか」「過去に相続した株はないか」などと聞いてみるといいでしょう。何しろ、株券の名義が書き換えられていないと、配当金の受取など、株主の権利が守られないばかりか、電子化後はかんたんに売却できなくなります。まさに「知らないと大損!」の可能性があるのです。家族や親族に心当たりのある方もない方も、これを機会に、一度聞いてみることをおすすめします。

現行制度と、電子化後はどう違う?

それでは、現在の制度と、株券電子化後との違いは、どのような点にあるのでしょうか。 現行の制度上、株券を保有する場合、大きくわけて2種類の方法があります。1つめの方法は、株券を自身で保有・保管する(もしくは証券会社などでの保護預かり)というものです。株主自身で株券を所有しているため、名義の書き換えなどは、自身で発行会社に依頼しなくてはなりません。

もう1つは、ほふりを活用した方法です。株主が保有する株券は、証券会社を通じてほふりに預け、発行会社に株主の情報を通知しているケースです。この方法だと、株券の受け渡しや保管等の管理を株主自身が行わなくても、売買や株主権を行使することができます。

2009年以降、株券電子化が施行された新制度では、株式情報は、証券会社・ほふりにデータで記録される方法に一元化されます。株券がデータ化されるので、現物券面の預託や交付はなくなり、発行会社の社名変更などでいちいち手続きをする必要がなくなります。現在、ほふりを活用している人は今回の電子化にともなって手続きすることはありませんが、前者の人、つまり自宅で株券を保管している、証券会社に保護預かりにしている人は、株券電子化にともなう手続きが必要になります。

2009年1月実施、手続き期限が迫る!

株券電子化は、2009年1月実施に向けて、現在、準備が急ピッチで進んでいます。株券の電子化にともなって手続きが必要な人は、名義の書換のほか、証券会社を通じて、ほふりに預託しなくてはなりません。手続きの期限は、電子化2週間前の前日、つまり12月19日となっています。

この手続き期限は、証券会社によって異なっており、なかには12月上旬で締め切るところもあります。加えて、年末にかけて証券会社の店頭が混乱することや、ほふりの処理能力に追いつかないこともありえます。

また、注意したいのが、企業の合併や分割などにより、「旧株券」を保有している場合です。こうした現在流通していない株券は、一般的な株券と比べても、1~2カ月程度、早めに締め切ってしまうところが多いようです。いずれにせよ、証券会社の窓口・ほふりが混乱する前に、早めに手続きを行いましょう。⇒株券が電子化されることでどんなメリットがある?