首都高速道路は23日、東京都目黒区に建設中の「大橋ジャンクション」の地下ルートを掘り進んできた「大橋シールドマシン」を報道公開した。今回は、同マシンが国道246号と環状6号(山手通り)の地下を、片道約430m掘り進んだところで折り返し、再び出発点に戻ってきた時点での公開となる。この到達で、中央環状新宿線(熊野町ジャンクション~大橋ジャンクション間、11km)のシールド掘削はほぼ終了ということになる。

地下を430m歩いて到達したシールド最終到達地点。上に完成が近い環状線内回り(3号方面)が、下に到着したばかりの大橋シールドマシンが見える。シールド掘削の復路430mを約半年かけて掘り進んできた。回転は約3分間に1回転するという

大橋ジャンクションは、国道246号上を通過する高速3号渋谷線と、中央環状新宿線(2009年完成予定)と中央環状品川線(2013年完成予定)を接続するループ状のジャンクションで、高架を走る渋谷線と地下を通り抜ける中央環状線を結ぶための大規模な工事が現在も進められている。敷地面積は国立競技場のグラウンドと同程度。地上ループ部分は4層構造、地下連絡部分は上下線が縦に並ぶ「上下併設」構造になっていて、ループ中央部分は換気所などが設けられる。

大橋シールドマシンは石川島播磨重工業製。急カーブを掘削できるように左右3.2度、上下0.5度曲る「中折れ装置」が付いている

大橋シールドマシンには世界初の試みがある。上下に並べられたトンネルをつくるにあたり、上段部分のトンネルを2006年夏から掘り始めた同マシンは、折り返し地点となる大橋ジャンクション地下部分でUターンし、下段まで高さを落として再び下段部分を掘削していくというジャッキダウン・Uターン方式を採用。この世界初となるUターンで、大幅なコスト削減につなげている。

ループ部中段で環境への取組みについてのレクチャーを受け屋上へ。現在はコンクリート面だが、ここが緑化され公園となり一般に開放される。奥に27階建て再開発ビルが見える。ビルと公園を結ぶ連絡橋がつくられるという

今回の報道公開では、大橋ジャンクション地下から、すでに地下トンネルとして整備された3号方面連絡路(上段)を約430m歩き、大橋シールドマシンの出発点である「松見坂立杭」(山手通り)内の地下を見学した。中央環状新宿線方面連絡路となる下段には、任務をほぼ終えた大橋シールドマシンが顔を出し、両方向の道路が縦に並ぶ状態を確認できた。

大橋ジャンクションの完成図

ループ部分の屋上も見学。屋上部分は緑化され一般の入場が可能な公園として整備される。また、同ジャンクションに隣接するかたちで、地上27階建てと41階建ての再開発ビルが2棟建設される。屋上の公園とこの再開発ビルは連絡歩道橋で結ばれる予定だ。

大橋ジャンクションを上から眺める。3号渋谷線用賀方面から新宿(初台南出入口)方面へ向かうクルマは、右カーブで連続するループを駆け下り、地下に入って左カーブを抜けると山手通り直下の中央環状新宿線に合流することになる

中央環状新宿線の大橋ジャンクション~西新宿ジャンクション間が開通すると、3号渋谷線の東名高速道方面と、放射状に延びる中央道、東北道、常磐道、京葉道とが、中央環状線で結ばれ、都心を経由せずに連絡できるようになる。同区間は2009年度の開通を目指し、現在急ピッチで工事が進められている。