CEATEC JAPAN 2008 - 画像認識や低価格化などナビゲーションは爛熟期へ

すでにカーナビは標準的なカー用品だが、単に道案内の領域を越え、CCDカメラと組み合わせるなどして総合的なドライブアシスタント機器になりつつある。ここではCEATECで見かけたナビゲーション関連の出品を集めてみた。

カロッツェリア(パイオニア)は、つい昨日カーナビゲーションシステム「楽ナビ」のニューモデルを発表したが、目についたのは新しい「楽ナビ Lite(AVIC-MRZ088)」だった。これはHDDの代わりにメモリーを使うエントリーモデルだが、普段使いに便利なように機能が絞り込まれているのが小気味よい。ショッピングやグルメ、よく行く場所をワンタッチで選択できる。もちろん携帯電話をつなげば、カロッツェリア得意の「スマートループ」や、もっとも安いガソリンスタンドの検索なども使用できる。ナビ本体が10万円以下という低価格も魅力的だ。

地図情報大手のMapFan(インクリメントP)は、ウィルコム「D4」向けのカーナビゲーションアプリ「MapFan Navii(マップファン・ナビィ)」を展示した。D4はPHS、無線LAN、固定回線(LAN)の3種が使えるPDAだが、このMapFan Naviiはクルマ用カーナビとして設計したとのこと。ダッシュボードに固定して使うことになるはず。目的地検索やルート検索はもちろん、D4の通信機能を利用し、渋滞情報やガソリンスタンド価格情報、駐車場の満空情報なども受信できる。MapFan Naviiはこの冬の発売が予定されている。

沖電気工業は、開発中の技術として画像認識LSI 「NEXT@EYE」を展示。ビデオ画像上で動くものを認識し、色や大きさ、方向、速度の条件付けから被写体を判断する。同様の技術はスバルなどの自動車メーカーも開発を行なっているが、このNEXT@EYEが優れているのは、システムが非常に小規模なこと。60MHz程度のクロックで十分に動作するという。そのためクルマ用だけでなく、監視カメラや計数システムなどにも利用できる。高度なだけでなく、小型化やシンプル化が薦められているのも、画像認識技術が進んでいることが伺える。

STマイクロエレクトロニクスは、運転補助用の画像認識処理ASIC「Mobileye EyeQ2」(モービルアイ)を展示。シングルカメラながら、歩行者までの距離をリアルタイムで計測するデモを行なっていた。これは地上からの高さを画像上で計測し、距離を割り出している。これもシンプルなシステムで実現できることが特長のひとつ。すでにボルボやBMWの一部に採用されているという。

また、同社はワイドダイナミックレンジのCMOSセンサーも展示していた。クルマを運転しているとトンネルの出入りなど、極端に明暗が変化するシーンも少なくないが、そういったシーンでもダイナミックレンジが広ければ映像情報を損失しない。

ユニークなところでは、SMKの「フォース フィードバック タッチパネル」があった。カーナビなど、液晶パネルに直接触れて操作する「タッチパネル」が当たり前だが、今回の展示は触れた部分を振動し、クリック感を得られるようにしている。その部分を触れたことが確実にわかるため、操作ミスが減るというメリットがある。

カーナビではフルセグやワンセグなどのテレビ放送受信や、道路情報を得るVICS機能が当たり前だが、この方面の高実装化、小型化が急激に進んでいるようだ。アルプス電気が展示した各種チューナーは、従来品よりもはるかに小さくなっている。車載用ワンセグチューナーはわずか25×15mmの大きさになり、VICS用FMチューナーは従来品より98%ダウン、わずか12.6×7.9mmに収まっている。装置の小型化はさらに進むはずだ。