日本人が作ったハリウッド映画は、日米混合キャストによる意欲作!

今回レビューするのは、スピリチュアル・フォトをテーマにしたスピリチュアル・スリラー映画、『シャッター』です。

すでに怖い

監督を務めたのは『パラサイド・イヴ』や『催眠』『感染』などで知られる落合正幸。そして製作は、『リング』『呪怨』を手がけ、いまやハリウッドからも注目を浴びるプロデューサー一瀬隆重。

この二人がハリウッドと組んで製作した本作は、すでに全米で初登場3位に入る大ヒットを記録しているというからすごい。『リング』もそうですが、日本のホラーやスリラーといったジャンルの映画は、だいぶハリウッドにも浸透してきた感がありますね。

ところで"アメリカでヒットした恐怖もの"と聞くと、どうせチェーンソー振り回して血がブシブシ出る映画じゃないの、と思われる方がいるかもしれませんので先に書いておきますけど、この『シャッター』の内容はかなり日本的で、テイストとしては『ジェイソン』ではなく『呪怨』に近いです。

この映画の雰囲気を端的にあらわした一場面

とはいえどことなく海外ホラーの匂いが混じっているシーンなんかもあり、そのあたりの配分は一瀬氏が関わっているだけあってさすがにうまい。

で、個人的に「やらしいなー」と思ったのは、この映画の主人公はアメリカ人夫婦なんですけど、舞台は日本なんですよね。それってもう、日米両方でヒットさせる気満々の設定じゃないですか!

まあそんな大人の事情はさておき、まずはあらすじからご紹介しましょう。


ニューヨークで結婚式を挙げた幸せな一組の男女。
新郎はやり手のカメラマンであるベン(ジョシュア・ジャクソン)。
新婦は美しいジェーン(レイチェル・テイラー)。

ベンの仕事も兼ねて、ハネムーンで日本を訪れた彼らは、ある日夜道のドライブを楽しんでいました。
しかし暗い山道に差し掛かったとき、突然車の前に白い服の女性が現れます。
予想外の事態に避けきることができず、女性を轢いてしまったベンとジェーン夫婦。パニックになりながら車を止めて降りるも、不思議なことに轢かれたはずの女性は忽然と姿を消していたのでした……。

カメラマンのベン(右)と、妻のジェーン(左)

――という流れからもわかる通り、オープニングの幸せな雰囲気は10分でぶち壊し。あとはひたすら恐怖の時間が観客を待ち受けているのです。

ちなみにこの白い服の女性"メグミ"を演じているのが、本作がハリウッドデビューとなる、奥菜恵。ジェーンも美しいのですが、やはり日本人の僕としてはメグミを推したいところですね! いや、推すとか推さないとか、そういう類の映画じゃないんですけども。

白い服を着た謎の女性"メグミ"が物語のカギを握る

それでは、次項からは本作の見どころをポイント別にご紹介していきましょう。