一瀬隆重からの指名でメガホンを取った『シャッター』

「スピリチュアル・フォト」をテーマに、人間の内面と悲劇的な愛を描いたハリウッド映画『シャッター』。オール日本ロケを行ったことでも話題の本作が、いよいよ日本でも9月6日に封切られる。

プロデューサーは『リング』、『呪怨』の一瀬隆重。監督は『催眠』、『感染』の落合正幸。今の日本でホラー映画を撮るならこれ以上はない、と思えるほどのゴールデンコンビが送るスピリチュアル・スリラーは、すでに全米では大ヒットを記録している。今回、撮影の裏話などについて落合正幸監督にお話を伺うことができた。

――本作のスタッフやキャストが日米混合で、見ていてとても新鮮でした。落合さんが監督をされることになった経緯について教えてください。

落合正幸監督

落合正幸監督(以下落合)「一瀬さんからの指名でした。怨念がかった幽霊の話は想像していても怖いので(笑)なるべくやりたくないと一瀬さんに言っていたのですが、この『シャッター』は怖いだけではなくて、若い夫婦が人間として成長していく話でもあり、一面的ではない要素を多く含んでいることにとても魅かれ、ぜひやりたいと申し出ました。また、僕は子供の頃から映画を撮りたいと思っていましたが、まさかアメリカ映画が撮れるなんて思ってもいませんでした。だから、あたまに付く20世紀FOXの冠にしても、それを考えてしまうと震えてしまいそうですが、今回は日本が舞台で、ほとんどが日本のスタッフだったので、意識しないで撮ることができました」

――夫婦役の二人はアメリカ人ですが、英語でのコミュニケーションは苦労しましたか?

落合「僕は台本を日本語に翻訳されたもので理解していました。でも当然ながら英語とは感覚的には違います。撮影前は、芝居をどこでカットしていいか判らない、というイヤな夢を見ましたが、役者が日本にきてリハーサルしてみると、通訳の人が優秀だったこともあり、自然にやれたのでびっくりしました。それは、新妻役のレイチェルも言っていました」

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――やはり不安がありましたか?

落合「この話は会話劇なので台詞の言い回しに意味を持つんです。そこに、ちょっとした英語の言い回しでアドリブを入れられたりすると、ニュアンスの間違った表現になる可能性があるので、その判断には困りました。でも、現場にはアメリカ側のプロデューサーや、時には作家が来ていて、聞いていておかしいセリフはチェックしてもらいました」

(c) 2008 Twentieth Century Fox